野村証券が国債取引で相場操縦の疑い、課徴金2176万円を科すよう金融庁に監視委勧告

 証券取引等監視委員会は25日、国債先物取引で相場操縦を行ったとして、証券最大手「野村証券」(東京)に金融商品取引法違反で2176万円の課徴金を科すよう金融庁に勧告した。

野村証券

 発表などによると、同社で自社資金を元手に取引を行う「グローバル・マーケッツ」部門の管理職だったトレーダーは2021年3月9日、大阪取引所に上場されていた長期国債の先物取引で、売買する意思のない大量のダミー注文を出して他の投資家らの注文を誘い込み、その後に取り消す「見せ玉」という手口で不正に価格を変動。自らに有利な価格になった時点で実際に購入や売却を繰り返し、約148万円の利益を得た。

 トレーダーによる「見せ玉」の注文は、この先物取引市場で全注文量の約半分にも上ったという。監視委は、トレーダーが同社の資金を使って業務として取引し、利益も同社に帰属していたことから、トレーダー個人ではなく同社を勧告対象とすべきだと判断。「市場のゲートキーパーの役割を期待されている証券会社の信用を失墜させる重大な違反行為だ」と指摘した。

 野村証券は、「このような事態が起きたことを厳粛に受け止め、おわびする」と謝罪した上で、「法令順守や内部管理の体制強化・充実を図り、再発防止と信頼回復に努める」などとコメントした。

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