日立が鉄道部門の売上高1兆円に拡大へ…エヌビディアと連携、AI活用で保守作業を効率化

 【ベルリン=中西梓】日立製作所は24日、鉄道事業で米半導体大手エヌビディアと連携すると発表した。人工知能(AI)を活用した保守作業の効率化などに共同で取り組む。日立は欧州を中心に事業を強化し、2024年度に鉄道部門の売上高は約1兆円に拡大する。

 独ベルリンで始まった世界最大の鉄道技術見本市「イノトランス」に日立が展示ブースを開設。エヌビディアと共同開発したAI活用の新システムを披露した。

 営業列車にセンサーやカメラを取り付け、車両の揺れや部品の温度、線路の映像といった大量のデータを収集する。データを転送せずに端末側で処理する「エッジAI」を活用し、車両や線路の異常などを走行中に即座に分析、検知する。

 従来の保守作業では、専用車両の走行や人の目による夜間の点検作業が必要だった。世界的に保守作業員の人手不足は深刻化している。日立レールの我妻浩二チーフテクノロジーオフィサーは「従来は月に1回の点検だったものが毎日、毎時間点検でき、精度が大幅に上がる。デジタル化で保守作業を持続可能なものにしたい」と語る。

 エヌビディアの高性能半導体を使うことで、解析速度は大幅に向上した。すでに欧州で車両8000両に導入し、保守作業など車両運用に関係する遅れを最大2割削減したという。

 欧州では設備の老朽化や人手不足に伴い、ダイヤの大幅な遅れや運行休止が頻繁に起きているほか、維持管理費の増加も課題となっている。日立は車両開発に加えインフラの維持管理でも、安全確保とコスト削減を両立させる点を強みに、欧州市場で売り込みを強める考えだ。

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