コメ卸値、8月は前年比17%上昇で最高更新…農相「品薄感は解消に向かっている」

 農林水産省が17日発表した2023年産米の8月の相対取引価格(卸値)は、全銘柄の平均で60キロ・グラムあたり1万6133円(税込み)と前年同月比で17%上昇した。8月としては同省が調査を始めた06年産以降で最高となった。

農林水産省

 新米が出回る前の端境期で民間在庫が少なかったことに加え、南海トラフ地震や台風に備えて消費者が買いだめする動きが出て、スーパーの店頭などでコメが品薄となったことが背景にあるとみられる。

 銘柄別では、北海道産の「ゆめぴりか」が17%高の1万7234円、秋田県産の「あきたこまち」が18%高の1万6135円、栃木県産の「コシヒカリ」が26%高の1万5938円と軒並み上昇した。23年産米の取引価格は当初、平均1万5300円前後で推移していたが、24年3月から4か月連続で上がった。

店頭に並んだ新米(12日、大阪市阿倍野区のフレッシュマーケットアオイ昭和町店で)

 坂本農相は17日の閣議後の記者会見で、コメの流通状況に関し「新米がスーパーの棚に並ぶ機会も増え、品薄感は解消に向かっている」と説明。農水省は8月下旬と9月上旬の2度、卸売業者や集荷業者の団体に円滑な流通に向けた対応を求めていて、一定の効果が表れたとの認識を示した。

 一方、高騰する価格について坂本氏は「円滑なコメの流通が進めば、一定の価格水準に落ち着いてくる」との見通しを示した。店頭でコメが品薄に至った背景や原因について、10月下旬にも開く審議会で分析する方針も示した。

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