「ドルが高すぎる!」と主張するトランプ再選で円安は是正されるか 冨田浩司前駐米大使

バイデン大統領の選挙戦撤退を受けて、トランプ氏再選後の国際経済を想定した議論が活発になっている。同盟国に対しても厳しい要求が突きつけられる懸念がある半面、「ドルが高すぎる」と是正を訴える同氏の再選は円安に苦しむ日本にとってはメリットがあるのではないか。

トランプ再選で円安是正につながるかは判断できない

冨田浩司前駐米大使は「トランプ氏がドルは安くていいと主張しているのは事実だが、(ドル安政策を取ったとしても)為替が実際にどう動くかは分からない」と指摘する。日本記者クラブ(東京都港区)の記者会見でM&A Onlineの質問に答えた。

「トランプ氏は関税を一律10%引き上げるとしているが、(輸入品の値上がりで)物価が上がってインフレが進み、その結果として(ドル高につながる)金利上昇を招く」と、トランプ氏の経済政策にドル高につながりかねない内容も盛り込まれているという。

「今言われている経済面の政策がどういう形で実施されるかによって、為替相場は変わる。そもそも政府が為替相場を自由にコントロールできるのかという問題もあり、トランプ氏が再選されたとしても為替がどう動くのかを確定的に判断するのは難しい」と見ている。

トランプ氏が選挙公約で掲げている経済政策の実現可能性については、「選挙キャンペーンで言っていることと、政権について経済運営するのは違う。経済状況の動きに対応した政策を取っていくものだ。トランプ政権が誕生したとして、実際にどのような経済政策を取るのか現時点では予想できない」と慎重な見方を示した。

文・写真:糸永正行編集委員

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