【2024年】東洋インキ・鳥貴族・日立造船…今年もこんなにあるよ!上場企業の社名変更

コロナ禍のトンネルを抜け、初めてとなる新年。経済活動の活発化による景気浮揚への期待が膨らむが、物価高は止まらず、その引き金となったウクライナ戦争は出口が見えないまま2度目の越年となった。こうした中、2024年もすでに29社の上場企業で社名変更が予定されている。「辰年」にあやかり、“昇龍”のごとく、発展・成長の年となるのか。

東洋インキは英語社名、巴川は「紙」を外す

新年入りの元日付で新社名に移行したのは10社(1月4日付を1社含む)。このうち業歴が100年を超える老舗企業が2社含まれる。

東洋インキSCホールディングスは1日付で「artience(アーティエンス)」に改めた。新社名はart(アート)とscience(サイエンス)を組み合わせた造語で、「感性に響く価値」を世界に提供する会社に変革するという決意を込めた。液晶パネル向けレジストインキ、リチウムイオン電池部材などの電子関連はもとより、医療関連に事業領域が広がっている。

同社は1896(明治29)年に小林インキ店として創業し、1907年に株式会社への改組に伴い東洋インキ製造に社名を変更。2011年に持ち株会社制に移行した際、東洋インキSCホールディングスを発足させた。

今年6月に創業110年の節目を控える巴川製紙所は「巴川コーポレーション」に改めた。電気通信用紙(さん孔紙)、電気絶縁紙の国産化に先べんをつけるなど、産業用特殊紙の製造にルーツを持つが、現在はプリンタートナーや半導体関連材料が主力事業で、社名と実態が合わなくなっていた。100年を超える歴史の中で実は、今回が初めての社名変更となる。

日本コンピュータ・ダイナミクスは通称の「NCD」に変えた。1967年に創業した同社は独立系ソフトウエア会社の草分け企業。発足間もない1970年、ソフト開発を海外に委託するオフショア開発にいち早く道筋をつけてことでも知られる。

電通国際情報サービスは、電通グループのシンクタンク機能を担う電通総研を傘下に統合し、「電通総研」に社名を変更した。電通国際は1975年、電通と米GE(ゼネラル・エレクトリック)の合弁会社として誕生。パソコンもインターネットもない時代、GEの巨大コンピューターを国際ネットワーク経由で共同利用するサービスを日本企業に提供した。

現時点で2024年中の社名変更が明らかになっている29社のうち、持ち株会社への移行に伴うものが10社と3分の1超(経営統合絡みは2社)を占める。「ホールディングス」「グループ」を社名に加えるパターンだ。反対に持ち株会社制を廃止するのがFCE Holdings、レスターホールディングス、カーリットホールディングスで、社名からホールディングスを外す。


鳥貴族、海外を見据えてカタカナ社名に

外食企業は目下のところ、1社。鳥貴族ホールディングスは5月に「エターナルホスピタリティグループ」に社名を変更する。国内外食市場が縮小に向かう中、米国やアジアでの本格的な事業展開を見据え、カタカナ社名に改める。

鳥貴族の店舗(東京都世田谷区)

鳥貴族は1985年に焼鳥店「鳥貴族」を大阪府東大阪市に開店したのが始まり。1986年にメニュー全品を同一価格で提供する低価格路線を打ち出し、店舗網を関西圏にとどまらず、中部、関東地区などに拡大した。「鳥貴族」は10月末時点で630店舗(うち直営394店舗)。

「100年企業」ではほかに、ノリタケカンパニーリミテド、日立造船が社名変更を予定している。

ノリタケカンパニーリミテドは1904年に日本陶器として創業。高級洋食器の製造に乗り出し、1981年に現社名となった。陶磁器製造で培ったセラミックス技術を生かし、電子部品や素材分野に進出。今年7月に創業120年を迎えるのを機に、社名をブランド名の「ノリタケ」と統一する。ちなみに、ノリタケは創業地の「則武」に由来する。

社名問題にケリをつけた日立造船

その名も「カナデビア」。日立造船の10月からの新社名だ。1943年以来、80年に及ぶ日立造船の名前にピリオドを打つ。新社名の英語表記はkanadeviaで、奏でる(日本語)とVia(道・方法を意味するラテン語)による造語。

日立造船は1881年に、英国人E・H・ハンターが大阪鉄工所を立ち上げたことに始まる。洋式捕鯨船、タンカーをいずれも日本で初めて建造した。戦前の一時期、日立製作所の傘下に入った。戦後の財閥解体で日立グループから離脱後も「日立」の2文字を残していた。

2002年に祖業の造船事業を分離(現ユニバーサル造船)した。これに伴い、併記ネームとして「Hitz(ヒッツ)」を使用するなどしてきたが、長年宿題としてきた社名問題にようやく決着をつける。

◎2024年上場企業の社名変更(HDはホールディングスの略)

新社名 旧社名
1/1 Fantasista アジアゲートHD
ビューティーカダンHD ビューティー花壇
巴川コーポレーション 巴川製紙所
NEXYZ. Group ネクシィーズグループ
Artience 東洋インキSCホールディングス
NCD 日本コンピュータ・ダイナミクス
電通総研 電通国際情報サービス
プロジェクトHD プロジェクトカンパニー
FCE FCE Holdings
1/4 SBIアルヒ アルヒ
2/1 鉄人化HD 鉄人化計画
ReYuu Japan 日本テレホン
GLOE ウェルプレイド・ライゼスト
3/1 ペイクラウドHD アララ
Link‐U グループ Link‐U
3/18 コレック エヌリンクス
4/1 レスター レスターHD
ファブリカHD ファブリカコミュニケーションズ
スペースシャワーSKIYAKIホールディングス スペースシャワーネットワーク
キャストリコ トリプルワン
タカヨシHD タカヨシ
セゾンテクノロジー セゾン情報システムズ
5/1 フィットHD フィット
エターナルホスピタリティグループ 鳥貴族HD
7/1 カーリット カーリットHD
7/25 ノリタケ ノリタケカンパニーリミテド
10/1 トランスジェニックグループ トランスジェニック
ミラタップ サンワカンパニー
カナデビア 日立造船

文:M&A Online

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