貿易赤字9305億円、中国向け食料品輸出が4割以上減…「9月以降はさらに減る」と指摘も
財務省が20日発表した8月の貿易統計(速報)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9305億円の赤字だった。中国向けの食料品輸出が前年同月比で4割以上減少した。中国政府が東京電力福島第一原子力発電所の処理水放出に反発し、日本の水産物の輸入を全面停止した影響が出ているとみられる。
貿易赤字は2か月連続。資源価格の高騰や円安の進行を背景に輸入額が膨らんだ昨年8月(2兆7904億円の赤字)から、赤字幅は大きく縮小した。全体の輸出額は、前年同月比0・8%減の7兆9943億円だった。単価が高い半導体製造装置の低迷が押し下げ要因となった一方、半導体の供給回復に伴う自動車の輸出増が下支えとなった。
国別では、中国向けの食料品輸出額が41・2%減の141億円と大幅に落ち込んだ。中国政府が、8月24日から日本産水産物の輸入を全面停止しており、影響はさらに拡大する可能性がある。財務省担当者は「中国の対応次第だが、一般的に考えれば、9月以降はさらに減るだろう」と指摘した。
財務省によると、詳細な品目別をすでに公表している7月の貿易統計では、中国向け食料品のうち魚介類と加工品が4割弱を占めた。
09/20 08:58
読売新聞