EVでも“レクサスらしさ”はある? レクサス初のEV専用モデルのAWD「RZ450e」で長距離ドライブしてわかった使い勝手と走り味とは

2023年3月に登場した、レクサス初となるBEV専用モデルが新型「RZ」です。全長4805mmというミドルサイズのSUVタイプのEVですが、どんな走りなのでしょうか。長距離ドライブでわかった“レクサスらしさ”とは?

WLTCモードで494kmという航続距離に対してオーナーの意見とは

 レクサスブランド初のBEV(バッテリー電気自動車)は専用プラットフォームでつくられた「RZ」です。

 これからのレクサスの進むべき道筋が見える注目すべきモデルといえるでしょう。

 FWDの300e(820万円)とAWDの450e(880万円)の2車種用意されていますが、今回はAWDの「RZ 450e”version L”」をロングドライブに連れ出し、その実力を試しました。

レクサス「RZ450e “version L”」に試乗した

レクサス「RZ450e “version L”」に試乗した

 床下に搭載しているリチウムイオンバッテリーの総電力量は71.4kWh。2100kgの車両重量に対して小さくはないですが、余裕があるとは言いにくい容量です。

 レンジ(航続距離)を長くするためには各部の消費電力を減らすとともに、基本的にはバッテリー容量を大きくしなくてはなりません。

 そうなると重量が重くなり価格も高くなります。重量、価格、レンジのバランスはユーザーの使い方によって変わるから難しいところです。

 クルマは満充電状態で受け取りましたが、メーター上に示されるレンジは349kmでした。カタログ上ではWLTCモードで494kmという数字が出ていますが、実走行ではそれを下回るのが普通です。また直前の走り方からコンピュータが先の予測を出すので(これはエンジン車も同じ)、条件の悪い走り方だったのかもしれません。

 今回は長距離ドライブも含めての平均電費は5.3km/kWhと出ました。つまり71.4kWhのバッテリーをトコトン使い切ると378km走れる計算になります。

 このレンジは決して長いとは思えなかったのですが、RZとUXのレクサスの2車種のBEVユーザーは大きな不満を持ってないようです。

 それは最近レクサスから発表になったアンケート結果からわかります。「次回も電気自動車を選ぶ?」という質問に対し「検討したい」と答えたのが71%、どちらとも言えない18%、次は検討しない11%という結果でした。

 これは自分でレクサスRZ、UXを選んだユーザーからの回答だということを差し引いても、予想外に良い反応でした。BEVに対するデメリット(特にレンジに関しての不安)は感じずに使えているということでしょう。

感激したのはブレーキペダルのタッチの良さ

 今回は東京から長野県上田市の丸子中央病院で開催される花火大会を見物に行くという日帰りの長距離ドライブだったので、途中で充電を試しました。

レクサス「RZ450e “version L”」の充電の様子

レクサス「RZ450e “version L”」の充電の様子

 最近のCHAdeMO(急速充電器)は大きな電流を流せるようになったので、待ち時間は短くなりました。ちなみにバッテリー残量30%・レンジ106kmで充電を始めて、30分後には78%・レンジ272kmになったので、CHAdeMOさえ見つかればストレスなく走れそうです。

 軽井沢にはレクサス充電ステーションがあり、一般的な90kW充電器より充電時間が短くて済む150kW充電器の威力を試したかったのですが、TOYOTAアカウントに登録しクルマに紐づけられたスマホが必要で、さらに予約制だったので突然行っても充電できませんでした。今回は準備不足でしたが、オーナーになればスムースにできそうです。

 オーナーからのアンケート結果の中に購入理由の問いがありましたが、1位静粛性、2位走り・加速の良さでした。

 BEVはエンジン音がしない代わりに風切り音やタイヤからのパターンノイズ、低音のロードノイズが目立ってしまいますが、レクサスらしい静粛性が確保されているのは確認できました。まったく無音というわけではなく、耳障りな目立つ音をうまく消しているという感じです。

 走り・加速の良さに関してもアクセルペダルの踏み初めからスピードが乗るまで滑らかに加速していく感触はBEVの特徴で大きなメリットです。RZはアクセルペダルのゲインが高過ぎず、ちょうど良い感じで走れました。

 筆者が一番感激したのはブレーキペダルのタッチがもの凄く良かったことです。

 極微低速でのコントロール性もやりやすく、ハイスピードからの減速も期待どおりで、ブレーキペダルの踏み増しや抜くコントロールをするときでも、ペダルストロークではなく踏力で微調整ができるのでタイムラグがなくとてもやりやすかったからです。

 HEVやBEVの場合にはブレーキを遠隔操作しているような感じになりがちですが、ダイレクトな感触で運転できるから変なところに気を使わないから長距離ドライブでも疲れ知らずでした。

 ハンドリングに関しても前後のタイヤがバランスの良いグリップ感を出して、とても素直な走りでした。ハンドルは中立での遊び感を感じず、微小舵から正確な反応を示していました。決してシャープ過ぎないのも操りやすくて良かったところです。これは長距離ドライブでも疲れないための要素です。

 インテリアに関してはさすがレクサスと思える上質の出来でした。シート表皮、ダッシュボード、ドアの内張りなども手触りは良く、ちょっとしたソフトさもあり、ゴージャスな雰囲気の中でドライブを楽しめました。

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