将来的には日本上陸も!? アキュラの次世代「電動クーペSUV」はデザインが衝撃的! 気になる走りは「意のままのレスポンス」を実現へ

現地時間の2024年8月16日、「モントレー カーウィーク」の中でも重要イベントのひとつである「クエイル モータースポーツ ギャザリング」において、北米ホンダの高級車部門であるアキュラは次世代型電気自動車のコンセプトカー「パフォーマンスEVコンセプト」を初公開しました。果たしてどんなモデルなのでしょうか?

2代目「NSX」へのオマージュを散りばめたディテール

 アメリカ・カリフォルニア州モンテレーで、毎年8月の第3週におこわれている通称「モントレー・カーウィーク」。そのうちの主要イベントのひとつ「クエイル モータースポーツ ギャザリング」で、ホンダは北米で展開するアキュラの次世代型BEV(電気自動車)の方向性を示すという「パフォーマンスEVコンセプト」を発表しました。

アキュラ「パフォーマンスEVコンセプト」

アキュラ「パフォーマンスEVコンセプト」

 カリフォルニアにあるアキュラデザインスタジオにて開発されたというこのモデル、まずは何よりデザインが衝撃的です。

 スーパーヨットにインスパイアされたという先端が突き出したようなノーズを含むフロントデザイン、そして、クーペライクSUVという域を超えて、まさしくクーペのプロポーションに、大径タイヤ&ホイール、リフトアップされた車高の組み合わせは、他の何にも似ていない個性を発揮しています。

 ちなみに、リアのデッキリッド、左右が連結されたテールランプ、大型のリアディフューザーなどは、2代目「NSX」へのオマージュとしてデザインされたもの、とプレス資料には謳われています。正直、実車をつぶさに観察してきた私の印象は「えっ? そうかなぁ??」という感じだったんですけどね。

 肝心なハードウェア、そしてパフォーマンスについてはどうでしょう?

 まず注目すべきは、このクルマをベースとする「SUVタイプのBEVモデルを開発し、2025年末から米国オハイオ州のメアリズビル4輪車工場で生産」すると宣言されたことです。

 ホンダが1982年に、日本の自動車メーカーとして初めてアメリカでの4輪車生産を開始したメアリズビル工場は、現在2本ある4輪車生産ラインを1本に統合し、新たにBEV生産のハブ拠点とするべく生産設備の改修がおこなわれているところです。このモデルは、新生メアリズビル工場でつくられる最初のBEVモデルになります。

 しかも同時に、このクルマはホンダ独自開発の次世代BEVプラットフォームを用いた最初のモデルにもなるといいます。ホンダはゼネラル・モーターズとのアライアンスの下に、すでにホンダブランドでは「プロローグ」、アキュラでは「ZDX」を登場させていますが、次作は早くも100%オリジナルになるというわけです。

 実はこの次世代BEVプラットフォームは、2024年1月のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)でお披露目されたホンダ「0シリーズ」と共通です。つまり、薄型リチウムイオンバッテリーをフロアに敷き詰めて、コンポーネント類も小型化することで、革新的なプロポーション、広大な室内空間を生み出すことができる基本骨格を持っているわけですが、どうやら市販車として姿を現すのは、このアキュラ版の方が先になる模様です。

●アキュラのBEVは動力性能よりもドライバビリティ重視

 では、ホンダとアキュラのBEVの違いは、どこにあるのでしょうか? 実は以前、ホンダの三部敏宏社長は、こんな話をしていました。

「BEVで速さを突き詰めると、気を失う寸前くらい加速は強烈ですし、トルクベクタリングを駆使してタイヤの限界で曲がれる。走りの差別化という面で、スポーツカーは比較的やりやすいですが、一般のクルマでどこまでやるのか。その辺はまだ見えていないんですが、特にアキュラはパフォーマンスにこだわるのかな、と思っています」

 また、「クエイル モータースポーツ ギャザリング」での発表に先立って、ホンダの井上勝史電動事業開発本部長に、プレミアムパフォーマンスブランドと標榜するアキュラにとって、パフォーマンスという言葉は何を意味するのか? と聞いてみました。その答えは

「ドライバビリティこそが最も重要です。BEVでは電気モーターを使ったトルクベクタリングなど最先端の技術を用いて、加速も旋回も意のままの走りを可能にします」

 当然、動力性能も、という話でしょうが、それよりもドライバビリティ。しかも、そこにはホンダブランドとは明確な差別化がなされるということで間違いなさそうです。

 このアキュラ「パフォーマンスEVコンセプト」をベースとしたSUVタイプのBEVモデルは、2025年末から生産を開始する予定。となると、翌2026年春ごろのデビューが期待できます。

 同時に発表されたスポーツセダン「インテグラ タイプS HRCプロトタイプ」と同様、将来的には日本で試せるようになる可能性もゼロではないと見受けられるアキュラだけに、実際にどんな市販車ができてくるのか、今から楽しみです。

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