スズキ「ジムニー5ドア」気になるリアシートとラゲッジスペースは? 3ドアと比べて「広さを実感」 日本市場への早期投入に期待大

先ごろインドネシアで開催されたモーターショー「ガイキンド国際オートショー」でスズキの注目モデル「ジムニー5ドア」を子細にチェック。気になるリアシートとラゲッジスペースの使い勝手をチェックしました。

見栄えのいいルックスも特徴的なスズキ「ジムニー5ドア」

 2024年7月にインドネシアで開催されたモーターショー「GIIAS(ガイキンド国際オートショー)」に行ってきました。インドネシアは新車販売の8割以上が日本車という日本車大好きの国であり、会場内は「まるで日本のモーターショーか?」というくらい日系メーカーのブースが広がっていました。

 そんななかで、筆者(工藤貴宏)が興味を持ったクルマのひとつが、スズキの「ジムニー」です。

スズキ「ジムニー5ドア」

スズキ「ジムニー5ドア」

「『ジムニー』なんて日本で売ってるでしょ。何をいまさら?」と思う人もいるかもしれませんが、「GIIAS」のスズキブースに置かれていた4台の「ジムニー」のうちの3台は、日本未販売の「ジムニー5ドア」だったのです。

 ちなみに彼の地の「ジムニー」は軽自動車仕様ではなく、1500ccの自然吸気4気筒エンジンを積んでオーバーフェンダーを組み合わせた、日本でいうところの「ジムニーシエラ」が一般的です。

 3ドアを見慣れた筆者の率直な印象は、「5ドア化でロングボディ化された『ジムニー5ドア』は、胴の長いダックスフンドみたい」というもの。あくまで個人的な感想です。

 そんなプロポーションのため、「ジムニー5ドア」の全長が4.5mくらいあるクルマに見えますが、それは単なる錯覚。実際の全長は3985mm(海外仕様の3ドアに対して315mm長い)で、トヨタ「ヤリスクロス」より約20cmも短かいなどコンパクトに仕上がっています。

 ちなみに全幅は1645mmなので文句なしの5ナンバーサイズ。全高は1720mmとなっています。

 ちなみに「ジムニー5ドア」の外観における違いは、全長やドアの枚数だけにとどまりません。

 例えばフロントグリルは、3ドアがブラック仕上げなのに対し、5ドアはグレーのフレームにメッキを組み合わせた上級仕様となっています。

 仕上げが異なる理由は、どうやら3ドアとの差別化というよりも、生産工場のあるインドでは「ネクサ店」と呼ばれる上級車種を扱う店舗で販売されることと、エンジンの排気量が大きく、インドでは税金が高くなるため、少しでも見栄えをよくしたいというねらいからのようです。

 ちなみに現在のところ、インドネシア仕様も含めた「ジムニー5ドア」の生産国は、すべてインドとなっています(逆に3ドアはインド製が存在しない)。3ドアと5ドアのどちらも展開するインドネシア仕様の場合、3ドアは日本製、5ドアはインド製と、ボディによって生産国が異なるのがユニークです。

 ちなみに、インドネシア仕様の「ジムニー5ドア」の価格は4億6500万ルピア〜で、日本円に換算すると約430万円〜となります。一方、3ドアは4億4740万ルピア〜(約415万円〜)ですから、意外に価格差が小さいことに驚きます。

 この辺りは、インド製の5ドアはASEANとインドの自由貿易協定で関税が抑えられているのに対し、日本製の3ドアは、高い関税が科せられていることが影響しているのでしょう。

 ちなみに近い将来、「ジムニー5ドア」が日本で販売される場合、もしもインド製だったら日本は自動車輸入時の関税がないのでもっと安くなることでしょう。

荷室の奥行きを稼ぐべく前方に配置されるリアシート

 閑話休題。ショーの会場に日本未発売の「ジムニー5ドア」が飾られているとなれば、リアシートに座らないわけにはいきません。さっそく乗り込んでみましょう。

スズキ「ジムニー5ドア」

スズキ「ジムニー5ドア」

 両サイドにリアドアが備わるおかげで、リアシートへはアクセスしやすくなっています。

 とはいえ、実際に座ってみるとちょっとした違和感が。なんか思っていたのと違う……。

 その理由を確かめるべく、乗り降りしにくい3ドアのリアシートにも座ってみると……なるほど、思っていたのと違うと感じたワケが分かりました。期待していたほど、リアシート乗員のヒザ回りが広くないのです。

「ジムニー5ドア」は3ドアに対してホイールベースが340mmも伸びているた、さぞかしリアシートの足元が広いのだろう、と思っていたのですが、結論はそうではありませんでした。

 確かに3ドアよりは広いのですが、2台の差は“こぶしひとつ分”くらい。というわけで、広さに期待して「ジムニー5ドア」を選ぶと、ちょっと期待外れかもしれません。

 なぜそんなパッケージングにしたのか、リアゲートを開けてみれば謎が解けます。

「ジムニー5ドア」は3ドアよりもラゲッジスペースの奥行きが広く、その余裕を稼ぐべく「ジムニー5ドア」は後輪に対するリアシートの取りつけ位置を前へズラしているのでした。なお、こうした工夫により、ラゲッジスペースのフロア高も3ドアより低くなっています。

 つまり、「ジムニー5ドア」のパッケージングは、3ドアに対して「リアシートはちょっと広い、ラゲッジスペースはけっこう広い」という仕立てなのです。

 ただし、「ジムニー5ドア」の名誉(?)のためにいっておくと、リアシート自体は3ドアとは設計が全く異なっており、座り心地に関しては3ドアを大きくリードしています。3ドアのリアシートは格納性重視ですが、「ジムニー5ドア」のそれはリクライニング調整機構も備わるなど座り心地重視なのでした。

 それにしても、「ジムニー5ドア」はいつ日本市場に導入されるのでしょうか? 登場を待ちわびている人も結構多くいると思うので、スズキには早期導入を期待したいところです。

 最後に蛇足ですが、ショーの会場に展示されていた「ジムニー5ドア」のうちの1台は、鮮やかなレッドのボディカラーをまとっていました。実はこれ、日本仕様の3ドアには設定のない色。なかなか似合っていたので、こちらも日本仕様への導入に期待です。

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