“どこへでも行き、生きて帰ってこられる”究極のキャンピングカーを欧州で発見! トヨタ「ランクル70」ベースのゴツいトラキャンがカッコいい

トヨタ「ランドクルーザー70」ベースのキャンピングカーがヨーロッパのオークションサイトに出品されました。いったいどのようなモデルなのでしょうか。

海外向けのシングルキャビンモデルをベースに改造

 「ランドクルーザー70」(ランクル70)は1984年に登場したSUVです。

 世界の過酷な土地を走破できることを前提に設計されたモデルで、世界トップクラスの悪路走破性を備えています。

欧州のオークションサイトに出品中のトヨタ「ランドクルーザー70」ベースのトラックキャンパー

欧州のオークションサイトに出品中のトヨタ「ランドクルーザー70」ベースのトラックキャンパー

 ランクル70が登場した当時は、現在のようにSUVが群雄闊歩していた時代ではなく、SUV=4WD=クロスカントリー(クロカン)という認識でした。ランクル70はまさに悪路の走行機能に特化させたクロカンで、全体的に角張ったボディとなっています。

 ランクルはそもそも第二次大戦中の軍用車をルーツに持つ業務用車両です。1951年に「トヨタ・ジープBJ」、1955年に「ランドクルーザー20」、1960年に「ランドクルーザー40」とモデルチェンジを重ね、1984年にランクル70が誕生しました。

 登場当時は最先端のクロカンモデルとして人気が高まり、70をベースにファミリー向けに快適性を高めたモデル「ランドクルーザー・プラド」が登場します。

 現在のランドクルーザーは3つの系統に分けられます。ランクル40を受け継ぐ「ステーションワゴン系」、プラドを受け継ぐ「ライトデューティ系」、そして70の「ヘヴィ・デューティ系」です。

 現在のラインアップに当てはめると、ステーションワゴン系は「ランドクルーザー300」、ライトデューティ系は「ランドクルーザー250」となります。

 ランクル70は2004年に国内販売を一旦終了しましたが、海外専売車として生産が続いていました。時代に合わせて主にフロントフェイスのデザインを変更していますが、ベースの車体と性能は変わらず受け継いでいきました。

 国内にもランクル70の愛好家が多く、販売終了後も中古車はもちろん並行輸入モデルが国内に出回りました。類稀な走破性とともに昭和から大きく変わらないデザインが逆に評価を得ているのです。

 人気が高いことから、ランクル70誕生30周年の2014年には「30周年記念車」として新車で限定復活。バンタイプとともにピックアップトラックタイプも国内正規モデルとして販売され、話題を集めました。

 そして2023年、ランクル70が国内正規モデルとしてトヨタのラインアップに完全復活を遂げました。フロントフェイスは、初期の70を彷彿とさせる丸目のLEDヘッドライトに変更されていますが、それより後ろのボディは当時のままです。

 2014年の限定復活車はガソリンエンジンでしたが、今回の復活モデルのエンジンはプラドにも搭載される2.8リッターの直列4気筒ディーゼルターボエンジンが採用されています(最高出力204馬力・最大トルク500Nm)

 トランスミッションは6速ATで、駆動方式はAWDのみ。2WDとAWDの切り替えを手動で行う「パートタイム4WD」も変わらず装備されています。

 新車価格は480万円(税込)。発売されると同時に大人気モデルとなり、現在の納期は1〜3年といわれています。

国内モデルにはないシングルキャビンのランクル70をベースにトラキャンに改造

 今回オークションに登場した個体はオランダにあるもの。ランクル70の中でも「79型」という輸出仕様車となっています。

欧州のオークションサイトに出品中のトヨタ「ランドクルーザー70」ベースのトラックキャンパーのインテリア

欧州のオークションサイトに出品中のトヨタ「ランドクルーザー70」ベースのトラックキャンパーのインテリア

 国内モデルにはないシングルキャビンのモデルで、その中のピックアップトラックのモデルをベースにキャンパー化したと考えられます。製造年は2021年と比較的新しく、走行距離はまだ8500kmと低走行車です。

 エンジンは4.0リッターのV6ガソリンで、ギアは6速MT。これは2014年に登場した30周年記念車に採用されていたパッケージと同様のパワートレインです。

 タイヤはBFグッドリッチのオフロードタイプが装着されています(285/75R16×4本+スペア1本)。

 ベースの車体としてはそれ以外にウインチやシュノーケルを装備。シュノーケルの先からエンジンに吸気をするため、川を渡る際にもエンジンが壊れる心配がありません。

 キャンプ用のキャビンには、内部には長いソファが左右に配置され、ベッドがわりにもなります。ソファの先にはコンロとシンクがあり、室内での料理が可能。

 ポップアップのルーフをあげれば、さらに奥に空間ができてベッドルームとして活用が可能です。そしてルーフには、ソーラーパネル(150W×2枚)が装備されており発電と電源供給が可能になっています。の10リッターのボイラーを備えているため温水も作れるとのこと。バッテリーは200Ahのリチウムイオンを搭載しています。

 屋外にはキャビンに備え付けのタープを展開でき、バーベキューなどに対応。シャワーも屋外に備え付けられています。

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 個体の価格は18万5000ユーロ(約3000万円)。高額ですが、ランクル70は非常にタフで長持ちするので、購入すれば末長く付き合えます。そう考えれば破格ではないかもしれません。

 走破性は折り紙つきでウインチの装備、発電機能もあるためキャンプというよりも冒険の相棒となる一台となることは間違いありません。

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