「ノースアップ派」は昭和世代オジサンのみ!? カーナビ地図画面はどう表示する? ヘディングアップ派が圧倒的な理由とは

今やほとんどのクルマに搭載されているのがカーナビです。その地図表示には北が上の「ノースアップ」、進行方向が上の「ヘディングアップ」、そして俯瞰表示などがあります。カーナビメーカーによればほとんどのユーザーがヘディングアップで表示しているそうです。ノースアップ派も存在しているのでしょうか。

カーナビには40年を超える壮大な歴史がある

 乗用車だけでなくとも業務用車も含め、いまや搭載が当たり前となった車載機器がカーナビゲーションシステム(カーナビ)です。

 今回はこのカーナビについて、地図はヘディングアップ/ノースアップいずれがいいのか、あるいはモニターはタテ/ヨコどちらが使いやすいのか、その表示方法などに言及したいと思います。

北を上にする「ノースアップ」での表示。スケールは広域で使った方が使いやすい

北を上にする「ノースアップ」での表示。スケールは広域で使った方が使いやすい

 現在のカーナビは、デジタルデータ化された地図を使い、GPS衛星からの電波や車速パルスなどをリンクさせることで、正しい現在地をディスプレイ上に表示させることができます。その上で地図データから目的地を絞り込み、ルートを探索して案内することがカーナビの基本機能です。

 カーナビの歴史は、41年前の1981年に遡ります。

 ホンダが世界初の地図型カーナビとして「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」を開発し、それを2代目アコードに搭載して発売したのです。当時はGPSもないため、スタート位置を自分でセットすることから始め、地図は当時のドライブマップとして売れていた昭文社製「マップル」をフィルム化したものをエリアごとに1枚ずつ差し替えて使っていました。

1981年に登場した「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」。世界初のカーナビとしてIEEEに認定された。地図として使ったフィルムが左端に見える

1981年に登場した「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」。世界初のカーナビとしてIEEEに認定された。地図として使ったフィルムが左端に見える

 この時は、今のようにルート案内はせず、地図上を光でたどる自車位置を視認しながら目的地へと進んでいったのです。

「ルート案内をしないカーナビなんてどうやって使うの?」なんて声が聞こえてきそうですが、当時は自分の位置が地図上に表示され続けるだけでも驚嘆ものだったのです。ただ、目的地の方向は自分で判断する必要があったため、それをを知るためにも地図は北が上の「ノースアップ」を採用していました。

 その後、パイオニアが1990年に、地図をデジタルデータ化してCD-ROMに収め、GPSを使うことで自車位置を自動的に地図上に表示する「AVIC-1」を発売します。

 マツダもこの年にデビューした「ユーノス・コスモ」に、三菱電機製のGPSで現在地を測位するCCS(カーコミュニケーションシステム)を登場させています。ただ、いずれもルート案内をしないこともあって、地図は北を上としていました。

カーナビにルート案内機能が備わってからヘディングアップ派が増えた

 その流れが大きく変わったのは、ルート案内機能を備えるようになってからです。

進行方向を上にした「ヘディングアップ」での案内。交差点拡大図と地図の進行方向が一致しているので、ガイドが理解しやすい

進行方向を上にした「ヘディングアップ」での案内。交差点拡大図と地図の進行方向が一致しているので、ガイドが理解しやすい

 これが可能となったとき、自車位置を基準として地図を回転させる「ヘディングアップ」が初めて登場しました。地図は北が上であることが当たり前だった時代。「北が上でない地図なんて使いものになるのか?」と思いましたが、カーナビがルートを案内してくれるので、分岐点さえ気にしていれば目的地に到着できることに感動したことを憶えています。

 この発想は、ひとつはそれまでの紙地図の時代でも、進行方向に合わせて地図を回転させて使う人が少なからず存在しましたが、その使い方にヒントがあったということ。もうひとつのヒントは、欧米人がよく使う道案内方法でした。

 日本人が地図を描くときは多くがルート全体を描いて、その途中で分岐点を書き加える方法で対応します。それに対して欧米人の多くは、地図全体を描くこととはせず、現在地から分岐点を追加して目的地までのルートを描きます。この方法をカーナビに採用したのがヘディングアップだったのです。

 そんな中で、カーナビを使うのに「ノースアップ派」「ヘディングアップ派」がいることが紹介されます。

 しかし、ルート案内するのが当たり前の時代となった今となっては、大半の人がカーナビはヘディングアップで使います。案内されるガイドに従うだけでいいので、北を意識して使う必要はないからです。
 
 カーナビでは分岐点に近づくと交差点付近で拡大図もヘディングアップで表示しますが、これも進行方向が把握しやすくする理由のひとつです。

 一方、カーナビを電子マップとして使い、ルートは自分で決めたいと考える人はノースアップのほうが都合がいいと思います。これを指して、「今どきそんな使い方はしない。ノースアップ派は昭和世代のオッサンだよ」との揶揄する意見もありますが、地図に対する想いは人それぞれなのも確か。自分が好きなように使えばいいと思います。

 ただ、それでも目的地までのルートを設定している場合は、地図を広めに使いつつ、分岐点での交差点ガイドに従う方法が使いやすいのではないかと思います。

 その理由は、仮にクルマが南に向かっていると進行方向は下向きに表示されるため、ヘディングアップで表示される交差点拡大図とは進行方向が真逆の案内となってしまい、混乱の元になりやすいからです。「ルート案内は使わないよ」というのなら余計なお世話になりますが。

カーナビのディスプレイはヨコ長がいい? それともタテ長?

 そんな表示で相応しいのが、ヨコ長ディスプレイを備えたカーナビ(インフォテイメントシステム)です。

日本車の中でもっとも横方向を活用したディスプレイを採用したのが「ホンダe」だ。メーターも含めると計5つのディスプレイを組み合わせている

日本車の中でもっとも横方向を活用したディスプレイを採用したのが「ホンダe」だ。メーターも含めると計5つのディスプレイを組み合わせている

 横に長い表示ができるため、ふたつの異なった内容を表示、いわゆる2画面表示をしても十分な情報を得られるようになります。

 二分割した一方の表示ででルート全体をノースアップで表示しながら目的地に近づいていく様子を確認し、交差点拡大図は自車位置を基準としたヘディングアップの誘導に従う。こうすることでノースアップ/ヘディングアップ両方のメリットが活かせるのです。

 また2画面表示は、地図を3D化した俯瞰表示の時も便利です。

 地図を俯瞰すると進行方向の遠くまでが捉えやすくなるメリットがありますが、分岐点などでは進行方向の情報表示が制限される傾向にあり、肝心の分岐点情報を見逃すことも少なくありません。そこで交差点拡大図の大半は分岐点を真上から表示します。仮に3D表示しても、分岐点に近づくに従い、真上からの表示に切り替えて表示して対応するのが一般的です。こんな時も横に長いディスプレイは使いやすいと言えるでしょう。

 最近はタテ長ディスプレイのカーナビ(インフォテイメントシステム)も増えています。
 
 この場合、カーナビとは異なる別機能を同時表示させるのに都合が良いと言えます。たとえばエアコンや電動システムのモニターなど、車両側の情報を同時表示する使い方をするのにタテ長表示は便利です。ただ、これを実現するには画面サイズをかなり大きめにしないと、かえって使いにくいものとなってしまいます。

 また、このディスプレイでは地図をタテ長に表示することも可能ですが、その場合はディスプレイの高さが様々な弊害を生み出すことがあります。

 たとえばディスプレイ全体が低い位置にあると、老眼が入ったメガネをかけている人にとっては画面下部が見にくくなってしまうのです。

 これは肝心の自車位置付近がボヤけて見えることとなり、年配者には使いにくくなる可能性があります。適切な画面サイズと高さがマッチすれば、ヨコ長よりも手許で操作しやすいため、使いやすさではタテ長に分があるかもしれません。

 そんな中で最近増えているのが、ほぼタブレットをダッシュボードに埋め込んだとも思えるビッグサイズのディスプレイの採用です。

 これによってディスプレイが大きくなったのが良いとしても、ディスプレイの解像度が上がったことに伴い、表示情報を大幅に増やしている例も見られます。タブレットとして単体で使う場合はこれは有効な方法ですが、一瞬で情報を判断しなければならない車載機器にとっては情報を凝視することになり、これは危険の誘発にもつながりかねません。

 ディスプレイの解像度アップは情報量を増やすのではなく、フォントやグラフィック表示の鮮明度を上げるのに使い、表示情報のサイズは決して小さくしない。これこそが車載機器としての安心・安全なインターフェースにつながるわけで、ディスプレイの設計はこの鉄則を忘れずに果たしてもらいたいと思っています。

ジャンルで探す