「終活」は何歳から始めるべき? 最初にやってほしいこと
終活とは何から始める?何歳から始める?
「終活」という言葉を耳にする機会があります。終活と聞くと「終」の文字の印象から、人生の終わりと紐づけてしまいがちで、寂しい気持ちになってなかなか終活を始められない人や、まだ自分には終活は関係ないと考える人もいるでしょう。しかし終活には、自分の人生の終わりの準備のほかに「残りの人生を充実させるため日々の生活を見つめなおすキッカケ」という活動が含まれています。
終活を始める時期は、「○○歳から始めるべき」と誰かから決まった時期を指定できるものではなく、個々のタイミングが適した時期にやるべきといえるでしょう。
終活について難しく考える必要はありません。まずは最初の一歩として、「エンディングノート」に自分の想いを書くことから始めてみましょう。エンディングノートといっても、特別なものを用意する必要はありません。まずは家にある大学ノートに書いていけばいいのです。
ここでは、エンディングノートに書いておきたい4つのことについてまとめてみます。
1:「自分史や好きなもの」
まず終活の第一歩としてエンディングノートを書きながら、自分のエンディングに対する考えや想い・必要な情報を整理していきましょう。まずは、エンディングノートにあなたが生まれてから、現在までの自分史を年表スタイルで書いてみることをおすすめします。心に残るエピソード、思い出の出来事などをつづります。
自分の好きな食べ物・旅行先・音楽・スポーツ・本・映画や推しのアーティストなどもまとめてみましょう。忘れていたことを思い出したり、自分について新たな発見をしたりなどがあるはずです。ふり返ってみることで、これから先の人生で「これ、やっとかなきゃ!」ということを見つけるかもしれません。
2:「介護・看護をどうしてほしいか」
高齢になれば、介護・看護を受けることになる場合もあります。そのとき誰に介護してもらうのか、どんな施設に入所したいのか、財産管理をどうするのかから始まり、延命治療、臓器提供など、終末期医療に関わることをエンディングノートにまとめます。まだ、先のことと思っているので、分からないことも多いと思います。最初の段階では、「こんなことを考えるんだな」のだけ認識しておけばよいでしょう。今後、関連するさまざまな情報を見たり、聞いたりしたときに、自分の希望が徐々にまとまっていくでしょう。
3:「財産をどうするか」
エンディングノートには、資産やそれに関する情報を整理します。例えば、保険証券、銀行の通帳・キャッシュカードなど、有価証券、不動産の権利証、印鑑、マイナンバーカード、年金手帳、健康保険証・介護保険証などの保管場所を明記しておきましょう。さらに、書き出してみて、もう使わないと思った銀行口座や証券会社の口座などについては、解約して、使う口座だけに整理しましょう。
4:「葬儀・お墓をどうするか」
エンディングノートには希望するお葬式についても書いておきましょう。お葬式は、亡くなった人をお見送りする儀式です。最近では、身近な方だけで見送る「家族葬」のスタイルも増えています。お葬式のスタイルは今後も少しずつ変わっていく可能性もあり、現段階では、手厚く行うのか、簡素に行うのかぐらいだけを決めておき、これから考えるのでよいのではないでしょうか。
一方、お墓については、自分だけで決められることではありません。家族や親戚などと、話し合いが必要になります。タイミングをみて相談するようにしましょう。
番外編:大事な「ペットの情報を共有する」
エンディングノートに書いておきたいこととして、ペットを飼っている方は、ペットについての情報も忘れないでください。ペットの寿命は、人間よりも短いことがほとんどですので、飼い主の年齢から逆算して飼うことになると思います。したがって、「飼い主がペットよりも早く亡くなる」ということはあまりないかもしれませんが、「飼い主が病気で入院する」というような不測の事態は起こりうるのではないでしょうか。
ペットは大切な家族です。もしかしたらを想定し、ペットの情報をしっかりまとめておきましょう。ペットの性格、生活習慣、好きなペットフード、かかりつけの病院などをまとめておけば、急な場合でも必要なことは伝わるはずです。
また、万が一のとき、ペットを預かってくれる人も見つけ、何かあったらこうしてほしいと頼んでおくと頼まれる側も慌てません。犬、猫、小鳥やウサギなどの動物は、とてもデリケートです。慣れない環境で体調を崩さないよう、備えてあげましょう。
終活とは「人生を大団円に導く準備」
終活とは、「自分の最期を迎えるための準備」ですが、後ろ向きなことではありません。いうなれば「人生を大団円に導く準備」で、前向きなものととらえた方がよいでしょう。というのも、終活で「エンディングノート」に、残りの人生の理想のカタチをまとめることで、ごちゃごちゃした日常生活をすっきり整理することができるからです。
病気やケガなど万が一の事態が起きたとしても、エンディングノートがあれば、家族に自分の意思を伝えることができます。準備しておくことで気持ちが軽くなり、これからの人生を前向きに踏み出すことができるでしょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))
11/20 19:30
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