60歳で退職後、パートで働き厚生年金に加入したら、将来の年金はいくら増える?
60歳を迎えてもとても元気な方が多く、会社を定年した後も再雇用などで働く方が増えました。また、60歳以降も厚生年金に加入することで、将来受け取る年金も増えることも働く理由といえるでしょう。今回は、退職後、パートで働き今までどおり厚生年金に加入した場合、将来もらう年金がいくら増えるのか解説します。
老齢基礎年金(1階部分)は、20~60歳までの40年間、国民年金保険料を支払った期間や免除期間などの期間によって計算されます。一方、老齢厚生年金(2階部分)は、会社から受け取った給与の平均がもとになる標準報酬月額と厚生年金に加入した期間をもとに計算されます。次は、それぞれの計算方法を紹介します。
・老齢厚生年金受給額=A+B
・A=平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入月数
・B=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数
(1円未満は四捨五入)
たとえば、60~65歳まで5年間(60カ月)、60~70歳まで10年間(120カ月)パートで働き厚生年金に加入した場合の2パターンで老齢厚生年金がいくら増えるのかを試算してみましょう。計算するのあたり上記2つの計算式のうち、「B:平成15年4月以降の加入月数」を使用します。
《60~65歳まで5年間(60カ月)働いた場合》
・標準報酬月額が15万円:15万円×5.481/1000×60カ月=4万9329円
・標準報酬月額が20万円:20万円×5.481/1000×60カ月=6万5772円
《60~70歳まで10年間(120カ月)働いた場合》
・標準報酬月額が15万円:15万円×5.481/1000×120カ月=9万8658円
・標準報酬月額が20万円:20万円×5.481/1000×120カ月=13万1544円
厚生年金は、満70歳まで加入することができます。もし、60歳以降も働き厚生年金に加入した場合、標準報酬月額にもよりますが、上記の場合であれば5年間働けば年額約5万~7万円、10年間働けば年額約10万~13万円が増えます。
しかし、もしかしたら、20歳~就職するまで国民年金保険料を支払っていない場合や、転職などをして失業した期間があり国民年金保険料を免除された場合などで、480カ月を満たしていない方がいるかもしれません。
その場合であれば、60歳以降も働き、厚生年金に加入するのであれば、「経過的加算」が増えます。経過的加算は、20歳未満や60歳以降に厚生年金保険に加入した場合、老齢厚生年金に加算される金額です。
もし、20~23歳までの3年間(36カ月)分の国民年金保険料が支払っていなかったとしても、60~63歳まで働き厚生年金保険に加入すれば、老齢基礎年金の3年分に相当する額の「経過的加算」が支給されます。
2024(令和6)年度の老齢基礎年金額の満額となる「年額81万6000円(月額6万8000円)」をもとに計算してみましょう。
・経過的加算の目安=A-B
・A:1701円(令和6年度の単価)×厚生年金保険に加入した月数(上限480カ月)
・B:81万6000円(令和6年度の場合)×20~60歳の厚生年金加入月数÷480カ月
たとえば、23~60歳まで37年間(444か月)会社員として働いた後、5年間(60カ月)パートで働き厚生年金に加入した場合の経過的加算額を試算してみましょう。
トータルの厚生年金加入期間:42年間(504カ月)ですが、経過的加算の上限は480カ月
60歳までの厚生年金加入期間:37年間(444カ月)
・A:1701円×480カ月(上限)=81万6480円
・B:81万6000円×444カ月÷480カ月=75万4800円
・A-B:81万6480円-75万4800円=6万1680円
60歳時点で、厚生年金に加入した期間が37年間(444カ月)で、老齢基礎年金が満額に満たなかったとしても、60~63歳まで働き厚生年金に加入した場合は、老齢厚生年金に経過的加算が、老齢基礎年金の3年分に相当する年額6万1680円(36カ月)加算されます。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))
定年後も働けばそれだけ将来もらえる年金は増える
会社員や公務員など厚生年金に加入している人は、老後に「老齢基礎年金(1階部分)」と「老齢厚生年金(2階部分)」の両方を受給でき、厚生年金は、60歳以降も加入することで、将来もらえる年金が増えます。老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給額は、計算方法がそれぞれ異なります。老齢基礎年金(1階部分)は、20~60歳までの40年間、国民年金保険料を支払った期間や免除期間などの期間によって計算されます。一方、老齢厚生年金(2階部分)は、会社から受け取った給与の平均がもとになる標準報酬月額と厚生年金に加入した期間をもとに計算されます。次は、それぞれの計算方法を紹介します。
老齢厚生年金額の計算
もし、60歳以降も働き、厚生年金に加入するのであれば、老齢厚生年金は、その期間分、老齢厚生年金が増えます。老齢厚生年金は、加入期間によって以下のA、Bの計算式を使い、合計した金額が支給されます。・老齢厚生年金受給額=A+B
・A=平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入月数
・B=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数
(1円未満は四捨五入)
たとえば、60~65歳まで5年間(60カ月)、60~70歳まで10年間(120カ月)パートで働き厚生年金に加入した場合の2パターンで老齢厚生年金がいくら増えるのかを試算してみましょう。計算するのあたり上記2つの計算式のうち、「B:平成15年4月以降の加入月数」を使用します。
《60~65歳まで5年間(60カ月)働いた場合》
・標準報酬月額が15万円:15万円×5.481/1000×60カ月=4万9329円
・標準報酬月額が20万円:20万円×5.481/1000×60カ月=6万5772円
《60~70歳まで10年間(120カ月)働いた場合》
・標準報酬月額が15万円:15万円×5.481/1000×120カ月=9万8658円
・標準報酬月額が20万円:20万円×5.481/1000×120カ月=13万1544円
厚生年金は、満70歳まで加入することができます。もし、60歳以降も働き厚生年金に加入した場合、標準報酬月額にもよりますが、上記の場合であれば5年間働けば年額約5万~7万円、10年間働けば年額約10万~13万円が増えます。
経過的加算の計算
老齢基礎年金は、定年時の60歳時点で、20~60歳までの40年間(480カ月)分の支払いが完了していれば、65歳から満額が支給されます。その場合、60歳を超えて厚生年金に加入しても、それ以上増えることはありません。しかし、もしかしたら、20歳~就職するまで国民年金保険料を支払っていない場合や、転職などをして失業した期間があり国民年金保険料を免除された場合などで、480カ月を満たしていない方がいるかもしれません。
その場合であれば、60歳以降も働き、厚生年金に加入するのであれば、「経過的加算」が増えます。経過的加算は、20歳未満や60歳以降に厚生年金保険に加入した場合、老齢厚生年金に加算される金額です。
もし、20~23歳までの3年間(36カ月)分の国民年金保険料が支払っていなかったとしても、60~63歳まで働き厚生年金保険に加入すれば、老齢基礎年金の3年分に相当する額の「経過的加算」が支給されます。
2024(令和6)年度の老齢基礎年金額の満額となる「年額81万6000円(月額6万8000円)」をもとに計算してみましょう。
・経過的加算の目安=A-B
・A:1701円(令和6年度の単価)×厚生年金保険に加入した月数(上限480カ月)
・B:81万6000円(令和6年度の場合)×20~60歳の厚生年金加入月数÷480カ月
たとえば、23~60歳まで37年間(444か月)会社員として働いた後、5年間(60カ月)パートで働き厚生年金に加入した場合の経過的加算額を試算してみましょう。
トータルの厚生年金加入期間:42年間(504カ月)ですが、経過的加算の上限は480カ月
60歳までの厚生年金加入期間:37年間(444カ月)
・A:1701円×480カ月(上限)=81万6480円
・B:81万6000円×444カ月÷480カ月=75万4800円
・A-B:81万6480円-75万4800円=6万1680円
60歳時点で、厚生年金に加入した期間が37年間(444カ月)で、老齢基礎年金が満額に満たなかったとしても、60~63歳まで働き厚生年金に加入した場合は、老齢厚生年金に経過的加算が、老齢基礎年金の3年分に相当する年額6万1680円(36カ月)加算されます。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))
11/16 08:10
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