簡単早見表でわかる!厚生年金の受給額はいくら?

厚生年金の受給額早見表! 厚生年金の受給額は「加入期間」および「加入期間中の平均給与」で決まりますが、厚生年金の年金額は「加入期間のみ」で決まる国民年金に比べて計算式が複雑。簡単な厚生年金受給額の早見表・試算表を作ってみました。

厚生年金の受給額早見表!国民年金に比べて複雑な計算式

厚生年金の年金額は、「加入期間のみ」で決まる国民年金に比べて計算式が複雑です。厚生年金の計算の要素には、「加入期間」に加えて「加入期間中の給与の平均」というものがあるからです。大ざっぱな計算式は、「平均給与×一定乗率×加入期間」となります。

加入期間については、「会社員の期間」とイコールなので簡単なのですが、問題は「平均給与」です。自分の入社から退社までの給与額を全て覚えている人はほとんどいないでしょう。

また給与を単純に平均するだけでもダメで、現在価値に置き換える作業も必要なため、平均給与の正確な金額については年金事務所等で確認するしかありません。

厚生年金の計算式は平成15年4月前後で大きく変更に

計算式をさらに複雑にしているのが、平成15年4月に行われた「総報酬制の導入」です。

平成15年3月までについては、ボーナスを除いた月給だけで平均給与を算出していたのですが、平成15年4月以降は、ボーナスを含めた年収÷12で算出することになりました。

例えば、月給30万円、ボーナス60万円(2回)という人がいるとすると、

・平成15年3月までは、月給の30万円のみ
・平成15年4月以降は、30万円×12+60万円×2=480万円(年収)÷12=40万円

を平均給与の算出に使うことになります。

平成15年3月までの平均給与が30万円で、平成15年4月以降の平均給料が40万、平均給料がアップしていることがわかります。ただし、平均給与が多くなったら、年金が増える!とは、残念ながらなりません。総報酬制導入の前と後で計算式も変わり、

・平成15年3月までは、平均月給×7.5/1000×加入期間
・平成15年4月以降は、年収÷12×5.769/1000×加入期間(特例水準による計算方法。スライド率は省略。乗率については生年月日等で多少の差がある)

となりました。乗率は7.5から5.769になっています。平均給与が上がった分、乗率を減らして帳尻を合わせたということでしょうか。

平成15年4月をまたいで加入期間がある場合は、それぞれ計算しなければならないことになりますので、計算が面倒ですね。そこで、年金受給額の早見表を作ってみました。

厚生年金の受給額、早見表をチェック!

上が平成15年3月まで、下が平成15年4月以降の期間用となります。

金額はあくまでも概算。参考程度に


転職経験がある場合は、それぞれの期間を合算することになります。

平均給与について試算してもらったものがない場合は、平均に近いといわれている38歳時の給与(年収)で試算してみても良いと思います。

なお、働きながら(厚生年金に加入しながら)年金をもらう場合には、給料と年金額の合計に応じ、厚生年金の全部または一部がカットされることがあります(「在職老齢年金制度」)。

厚生年金は加入期間が20年以上あると「加給年金」が上乗せに

厚生年金の加入期間は、同時に国民年金にも加入していることになるため、厚生年金に加えてその期間の国民年金を受け取ることができます。

また、次の条件を満たす場合、「加給年金」という家族手当のようなものが加算されます。

・厚生年金の加入期間が20年以上(一定の場合15年以上)ある
・65歳未満の配偶者、または18歳到達年度の末日までの間の子がいる

65歳未満の配偶者がいる場合は、生年月日にもよりますが、年間約40万円ほどが加算されます。けっこう大きな金額ですね。加入期間が19年だと受け取れないので、加入期間が19年か20年では大きな「差」があることを知っておきたいですね。

文:和田 雅彦(社会保険労務士)

大学卒業後、地方銀行に勤務。1999年9月、社会保険労務士資格を取得し独立開業する。FP資格も取得し、年金を含めたライフプランの相談も多数受ける。年金、保険、労働問題の執筆や講演業務も行っている。
(文:和田 雅彦(社会保険労務士))

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