退職金がない会社に勤務。老後に向けて今からやっておくべきことは?

お金にまつわることは難しい……。みなさんからのちょっとした疑問に専門家が回答します。今回は、退職金がない人の資産形成についてです。

お金を貯めたい、家計を守りたい、と思っていても、お金にまつわることは難しい……と感じている人もいるのではないでしょうか。みなさんからのちょっとしたお金の疑問に専門家が回答します。今回は、退職金がない人の資産形成についてです。

Q:退職金が出ない会社に勤務。老後が不安です

「私の会社は退職金制度がありません。老後が不安です。今から何をしたらいいですか? 投資等はしたくありません」(46歳・男性会社員)

A:iDeCo等を活用して貯蓄をすることと、新しいことにも挑戦してみてください

投資等をせずにお金の備えをするなら、まずは積立定期や勤務先が導入していたら財形制度を利用してコツコツ貯蓄をしてください。

預貯金の場合、金利はないに等しいですが、現在46歳として、毎月1万円を19年間、65歳まで貯めると228万円になります。月5万円なら1140万円。月10万円なら2280万円になります。退職金の代わりには十分な額といえます。

貯蓄するときには、iDeCoも活用するとよいでしょう。iDeCoは60歳以上になるまで原則現金化することができないのと、掛金の限度額があるので、資産の一部を運用する方法として考えてください。

iDeCoとは、自身で金融商品を選択して掛金を運用して備える年金制度です。投資商品だけでなく、元本確約型の商品(主に定期預金)も備わっています。iDeCoの元本確約型商品の利息もほぼゼロですが、iDeCoの掛金が全額所得控除となるためその節税効果が狙いです。

年金制度のない会社の会社員であれば、掛金の上限額は月2万3000円、年間で27万6000円です。仮に所得税率20%・住民税率10%だとすると、8万2800円の節税になります。相談者が60歳までの14年間加入し続けたときの「掛金+節税額-手数料」は約500万円(掛金は386万円)です。

預貯金は急激な物価上昇(インフレ)が起きたときに、価値が下がってしまうリスクがあります。貯蓄だけでは不安なときは、退職金制度のある会社を求めての転職活動や副業などに挑戦してみてはどうでしょうか。人との出会いがあり視野も広がり、副業をする場合はお金も貯まり、将来への不安も軽くなるのではないかと思いますよ。

文:井上 陽一(ファイナンシャルプランナー)

大学卒業後、保険・不動産・会計業界を経て「金融商品や保険等の販売をしないファイナンシャルプランナー事務所を作ろう」と独立。福岡県を拠点に、実務経験に裏付けられた提案力で、家計や企業経営の改善を行う。
(文:井上 陽一(ファイナンシャルプランナー))

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