38歳シングル、貯金280万円。住宅購入を考えていますが…

血縁者も結婚する気もなく、退職後の生活資金と生活基盤に多少の不安を覚えている38歳の会社員女性。賃貸物件を借りる際に保証人が確保できないため、家の購入も検討中といいます。FP深野康彦さんがアドバイスします。

できる限りお金の不安を遠ざけながら、独り静かに暮らしたいのです

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。「血縁者もなく、結婚する気もなく、退職後の生活資金と生活基盤に多少の不安を覚えています」という38歳の会社員女性。

賃貸物件を借りる際に保証人が確保できないため、家の購入も検討中といいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

あんぱんさん(仮名)
女性/会社員/38歳
九州/借家

家族構成

一人暮らし

相談内容

血縁者もなく、結婚する気もなく、退職後の生活資金と生活基盤に多少の不安を覚えています。

今は賃貸物件を借りる際に保証人が確保できないため、家の購入も検討中ですが、いつまでにどれくらいの予算での購入なら大丈夫か、住宅ローンを払いながらどうすればどれだけの老後資金を貯められるか知りたいです。

今までお金に頓着したことがなく、離婚後から就職するまでにカードのリボ払いで80万円ほど借金を作ったこともあります。

現在の勤め先はまだ3年程度ですが、女性初の総合管理職?候補らしく、もう少しは昇給しそうです(男女格差が大きく、あまり期待はできない、毎年昇給しているが少額)。

退職金制度はあり、雇用延長で60代後半でも働いている人もいるので、体を壊さなければ長く働けます(ただし、毎年パワハラで突然退職する人もおり、職場環境は良くない)。

食費が高いとは思うが、食に興味がなく、料理をする時間も気力もないため、コンビニ利用が多く、無駄に買わないよう気をつけてこの金額。自分が死んで困る人がいないので、保険は掛け捨てで最低限の入院保障だけ。

漫画以外に趣味もないので、ボーナスは必要な衣服をまとめて買ったら口座にそのままです。毎月の貯蓄は金額を決めておらず、毎月ざっくり同じ金額が出て行き、残ったらそのままです。

余剰分があってもなくても、必要な額しか使いません。あまりに楽しみがないので、習い事でもすべきかと思ったこともありますが、始めるには至りません。

月収には残業代が多く含まれており、次に昇格したら管理職になり、その分がなくなるので、一時的には手取りが少し減るかもしれません。

結婚していたころや無職だった期間に年金を払えず、後納期間も過ぎている部分も多いはずなので満額は貰えないと思う。

正直長生きしたくはないけれど、同年代の平均余命から90歳くらいまで生きてしまいそうなので、できる限りお金の不安を遠ざけながら、独り静かに暮らせるようアドバイスをいただきたいです。

家計収支データ

あんぱんさんの家計収支データは図表のとおりです。

相談者「あんぱん」さんの家計収支データ



家計収支データ補足

(1)収入について
相談者「手取りに占める残業代は5万~6万円程度になります」

(2)住宅費について
相談者「物件の購入については、諸費用込みで2500万円を上限に40歳までにと考えていますが、完済年齢と毎月の返済負担を考えるともう少し抑えるべきかとも思います。将来、実家に戻る、実家を相続するといった可能性はありません」

(3)加入保険について
・本人/生命保険(終身タイプ、60歳払い済み、死亡保障なし、入院日額8000円、七大生活習慣病特約)=毎月の保険料4800円

(4)ボーナスの使い道について
相談者「50万円くらいは貯蓄できていると思います。靴・鞄含む衣料品の買い換えと、年1回の国内1泊旅行ぐらいしか使っていないと思います」

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:住宅購入は時間をかけて検討を。職場環境も心配
アドバイス2:住宅購入後は、家計見直しで月2万円貯蓄できれば安心
アドバイス3:個人年金保険などで、公的年金の不足分をカバーしても

アドバイス1:住宅購入は時間をかけて検討を。職場環境も心配

住宅購入を検討中とのことですが、積極的な理由ではないようで、少し心配になります。というのも、現在のお勤め先に関して、ネガティブに考えておられるような文面を拝見すると、本当にこのまま今の職場で大丈夫なのでしょうか?

もしも、転職もありうるなら、住宅ローンに縛られて、選択を誤らないようにしてほしいと思います。ローンを組むと、返済のために仕事を我慢してしまい、健康を害してしまうかもしれません。

そうしたことも含めて、住宅購入はじっくりと時間をかけて、検討してみてはいかがでしょうか?

なんとなく住宅を購入するのではなく、こうした暮らしがしたいから、この場所、このマンションがいい、というように、前向きな住宅購入であってほしいと思います。

たとえば、3年後を目標に、まずは頭金を準備するところから始めましょう。

今年はあと3カ月で15万円とボーナスから35万円で50万円貯蓄できます。2年目はボーナスを半分貯めるなどして1年で120万円。3年目も120万円。これで290万円貯めることができます。現在の貯蓄280万円と合わせて570万円。

頭金300万円、諸費用120万円、住宅ローンは20年返済で2000万円。このうち、毎月返済分を1400万円、ボーナス返済分を600万円とします。毎月の返済額は6万6000円、ボーナス返済は約23万円です。

頭金と諸費用を出しても、貯蓄は150万円残りますので、何かあっても当面の生活に困ることはないと思います。

アドバイス2:住宅購入後は、家計見直しで月2万円貯蓄できれば安心

ただ、毎月返済額のほかに、管理費や修繕積立金で2万円程度は必要になりますので、住居費は8万6000円となり、今の家賃より3万8000円増えてしまいます。すると、毎月5万円の貯蓄は難しくなってしまいます。

そこで、家計の見直しが必要になってきます。食費と雑費以外で削れるものはありませんが、逆に食費と雑費は、調整可能ではありませんか? この2つを見直すことで、毎月2万円を捻出して貯蓄できれば、この先、経済的に困ることはありません。

ボーナスから約46万円は住宅ローンの返済、残り74万円。この半分を貯蓄に回します。毎月2万円の貯蓄ボーナスと合わせて、年間約60万円貯められたら、住宅購入時の41歳から60歳までの19年間で1140万円貯めることができるのです。

住宅購入時の貯蓄の残り150万円と合わせて、1290万円。これが老後資金となります。

61歳で住宅ローンは完済しますので、その後の生活費はその分、抑えることができます。

アドバイス3:個人年金保険などで、公的年金の不足分をカバーしても

公的年金の受け取り開始の65歳までは、再雇用で働くか、パート、バイトでも構いませんので、できるだけ貯蓄からの取り崩しを少なく過ごすことがポイントになります。

もしも、今後転職するようなことがあっても、厚生年金の加入は必須です。厚生年金の受給額を増やすことも、老後のためには必要です。

それでも、不安が残るようであれば、個人年金保険に加入し、公的年金の不足分をカバーするという考え方もあるでしょう。

今は、それほど利率がいいわけではありませんが、保険料控除で所得税を節税することができますし、長生きリスクを心配しているなら、公的年金以外に受け取れるものがあれば、安心材料になるのではないでしょうか。

あんぱんさんは、あまり楽しみがないと書かれていますが、まだまだ人生これからです。

手始めに、住宅購入を目標にして、物件探しを楽しみに変えてみてはいかがでしょうか。物件見学でいろいろな町を訪れてみることも、楽しみに変えられたら、と思います。応援していますよ。

相談者「あんぱん」さんから寄せられた感想

丁寧なご回答ありがとうございます。住宅購入は確かに現段階でポジティブな理由ではないので、頭金を貯め、住みたい街探しをしながら自分のしたい暮らしや仕事のことをゆっくり考えてみます。その中で自分の楽しみを見つけられたらと思います。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:伊藤加奈子
(文:あるじゃん 編集部)

ジャンルで探す