ローン残高2350万円。一括返済と早期リタイアのどちらも希望しています

2350万円の住宅ローンを残している45歳の女性。貯蓄のある共働き家庭ですが、お子さんとの時間を優先するため妻の早期退職を考えているとのこと。シングル収入で一括返済しても大丈夫か、住宅ローンガイドの大島浩之さんが現実度をシミュレートします。

シングル収入になっても住宅ローンの一括返済は問題ないでしょうか?

住宅ローンを一括返済できるかプロに診断してほしい!今回の相談は2350万円の住宅ローンを残している45歳の女性。

貯蓄のある共働き家庭ですが、お子さんとの時間を優先するため、妻の早期退職を考えているとのこと。シングル収入で一括返済しても大丈夫か、住宅ローンガイドの大島浩之さんが現実度をシミュレートします。

相談内容

夫婦とも正社員です。3200万円で始まった住宅ローンは現在2350万円、住宅ローン控除をフル活用した後に一括返済を検討しています。減税10回目の2022年12月に残高2000万円となるように計算して繰り上げ返済を一度行いました。

直近2年は年間350~400万円を貯金に回しており、また現時点で私が退職した場合も1000万円ほどの退職金が見込めます。このため、一括返済可能かとも考えていますが、手元にまとまった金額を残すべきか判断に迷っております。

高齢で子どもを授かったことから、かけがえのない子どもとの今の時間を十分にとりたく、私は退職希望です。老後資金、教育資金への備えに加え年間50万ほどで旅行等も楽しみたいのですが、今、夫ひとりの収入になると厳しいでしょうか。

相談者

まれさちさん(45歳女性・会社員・既婚)
家族構成/夫(46歳・会社員)、子ども2人(6歳/小1、3歳/年少)
住まい/神奈川県

現在の家計収支の状況

<収入>
手取りの月収/62万円(夫37万・妻25万)
夫の手取りボーナス金額(年間)/200万円
妻の手取りボーナス金額(年間)/150万円

<支出>
毎月の支出/約40万円

◇主な内訳
住居費:9.5万円
車両費:1万円
食費(外食費込み):6万円
光熱費:3万円
通信費:2万円
趣味・教養・娯楽費:3万円
教育費:6.5万円
家族のこづかい:3万円
雑費:2.5万円
保険料:3.5万円
・ガン、医療、収入保険:合計1.3万円
・学資(第1子12才払込満了、300万円):2.2万円

<貯蓄>
貯蓄総額:1700万円(預金1500万円、株式200万円)

住宅ローンの状況物件/新築一戸建て

住宅ローン/3200万円/残債2350万円
金利/変動0.875%
期間/35年・25年の2本立て
ローン開始日/2013年

住宅ローン控除フル活用後、全額返済、夫のみの収入で家計をシミュレート!

いただいた家計の収支状況を元に、今回は住宅ローン控除フル活用後に一括返済することができるのかという視点で今後20年間のキャッシュフローを計算。なお、夫は65歳まで就労、妻は年内に退職し、1000万円の退職金を得るものとしています。また毎年50万円の旅行代を計上しています。

※収入と基本生活費は変わらないものとします。また物価上昇や運用利回りの変動率をゼロとしています。

経過年数20年後までの家計推移



※経過年数1年後以降については、教育費は子ども1人1350万円と仮定(文部科学省「子供の学習費調査」平成28年度、日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」平成29年度より)。高校までは公立、大学については公私・文理系を特定せずに平均的な金額により計算。

※収入合計に児童手当も含んでます。

一括返済して、総返済額を減らしましょう! ただし生命保険も要検討です

これまで、計画的に繰り上げ返済されてきたこともあり、2022年末の住宅ローン残高2000万円に対し、貯蓄残高は3768万円ほどあるため、一括返済も現実的となります。

あくまで概算にはなりますが、今の家計状況で住宅ローン控除フル活用後、貯蓄残高が住宅ローン残債を大幅に上回るため、手元にまとまった金額を残しながらの完済も可能です。

早いタイミングで完済すれば、総返済額を減らすことにもなりますし、毎年の支出としても年間114万円の住居費(月額9.5万円)がなくなることから、老後の準備も万全といえます。

また学資保険として300万円を準備されている点でも安心です。ただし万一に備えて、今後、何らかの生命保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。

老後の準備と教育費とのバランスをご夫婦で話し合いましょう

まれさちさんの家計の場合、お子さんが私立校へ進学したとしても、住宅ローン完済後、老後へ向けての貯えの準備が可能となっています。

一点注意すべきなのは、教育費について。何に対して、どこまでかけるのかという線引きです。まれさちさんのご家庭では、教育費の年額が78万円(月額6.5万円)と、一般的なデータ(上の子年額34万円、下の子年額21万円、合計55万円)と比較して高めになっています。

親の立場としては、従来の受験のための塾のみならず、IT・AI全盛時代に向けて、パソコンやプログラミングなどを学ばせたり、また、教養を深めるための習い事、人格を形成するためのスポーツなど、とにかく、興味のあることを体験させてあげたいと思われるのも当然といえば、当然ですね。

もっとも、老後の準備とのバランスから、2人のお子さんの成長をどう見守るのかをご夫婦でシミュレーションしていただければと思います。

また、お子さんから手が離れたタイミングで、まれさちさんご自身も収入を得るためのお仕事を再開してみてもよいのかもしれませんね。今後の社会情勢の変化や年齢によってご主人の就労条件が変わる可能性も考えられますので、ご家庭の収入源を複数持っておくことはリスク分散にも繋がります。

「老後の準備とお子さんの成長を見守ることとのバランス」を保つことで、益々、しあわせなご家庭を築かれることを期待しております。

※診断結果はあくまでも現在の家計状況からの概算です。将来を保証するものではありません。

解説・キャッシュフロー表作成/大島浩之

住宅ローンを切り口に、ライフプランニングを提案するCFP。上智大学文学部新聞学科卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、現在では、FP試験の講師を務める傍ら、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングの相談を受ける。
(文:All About 編集部)

ジャンルで探す