日銀、経済・市場を当面注視=正常化路線は継続―石破新内閣発足

石破茂新内閣が10月1日発足する。自民党総裁選で「アベノミクス」継承を訴え利上げに反対していた高市早苗経済安全保障担当相が敗れたことで、日銀の大規模金融緩和からの正常化路線は継続しそうだ。ただ、足元では株価急落や円相場の急騰など市場が不安定化しているほか、米国では大統領選や景気後退リスクもある。このため、日銀は7月に続く再利上げは急いでおらず、当面は経済・市場動向を見極める構えだ。
石破氏は9月27日、テレビ東京の番組で「金融緩和基調は基本的に変えることはしない」と急速な利上げに慎重姿勢を示す一方、「日銀が政府の子会社だとは思っていない。連携を密にしながら、それぞれが適切に判断していく」と強調した。
石破氏は従来、アベノミクスに否定的な立場で、金融政策の正常化に理解を示してきた。先の発言は、今後も日銀の独立性を尊重する考えを明らかにした形だ。
日銀の植田和男総裁は9月、今後の政策判断には「時間的余裕がある」と説明しながらも、基調的な物価上昇率が2%で推移する見通しが実現に向かえば段階的に利上げする方針を表明した。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「石破新政権の下で、日銀の金融政策は自由度を維持し、自らの判断で正常化を進めていくことになる」と指摘する。だが、植田総裁を任命した岸田文雄首相が退くことで、仮に今後景気が失速した場合には、政府が日銀の責任を問いやすくなる可能性もある。

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