いすゞCM「だれでもトラック」な世界は実現できるのか? 「本田翼」起用、業界大注目で考える
AT限定免許で運転可
いすゞ自動車は2024年7月24日に記者会見を開き、AT限定普通免許で運転できる国内唯一の小型ディーゼルトラック「エルフミオ」を7月30日から発売すると発表した。
会見には、いすゞ自動車の南真介社長と、この車のテレビCMに出演する女優・モデルの本田翼さんが登場した。テレビCMは7月30日から全国で順次放送される。
いすゞは、国内経済を支えるトラックドライバーの人材確保が急務であり、「トラックドライバー不足」という社会問題の解決に貢献することを目指している。エルフミオのキーワードは
「だれでもトラック」
であり、ドライバーの裾野を広げるために、取り回しやすいボディサイズと経済的なディーゼルエンジンを搭載している。
若者開拓の新戦略
いすゞの小型トラック「エルフ」のテレビCMでは、アーティストの大友康平さんが歌うおなじみのCM曲「いすゞのトラック」が印象的だ。この曲は2004(平成16)年にモデルチェンジしたエルフのCMソングとして、東急エージェンシーが制作したものである。
大友さんは2019年7月からエルフのテレビCMに起用され、エルフの小型トラックに乗りながら「いすゞのトラック」を熱唱している。大友さんの笑顔と力強い歌声が、エルフの先進機能をアピールするストーリー展開とともに、トラックに親近感を与えていた。また、CMでは日本や世界各地を走るいすゞ・エルフも紹介されている。
新たにコンセプトを打ち出したエルフミオのテレビCMは、5年ぶりのリニューアルとなる。新CMでは、エルフミオの「だれでもトラック」というシンプルなキーワードに沿ったストーリーが展開されている。
いすゞがエルフミオで目指しているのは、新しいドライバー層の開拓であり、ターゲットは20代から30代の若年層だ。特に女性ドライバーを重要なターゲットとし、本田さんが演じる笑顔あふれるアクティブな新しいドライバー像が描かれている。
新CMには「だれでもトラックELFmio / 登場」編と「だれでもトラックELFmio / スマホで簡単」編のふたつつのバージョンがあり、どちらもさっそうとキャビンに乗り込む動作や、荷物を手際よく積み下ろしする様子が印象的だ。本田さんのトラック愛と笑顔があふれた演技が魅力的である。
エルフミオは、いすゞが8年近くの開発期間を経て満を持して売り出した、AT普通免許で運転できる画期的なトラックだ。特に運転未経験の若年層に向けて、AT限定免許で運転可能なことは大きな魅力となっている。運転のしやすさや経済的な合理性は、新しいドライバー層を獲得するための重要な要素だ。そうした要素を取り入れたのが今回の新CMである。
新世代ドライバーの魅力と可能性
テレビCMにタレントが起用されると、そのタレントの個性や感性がCMに反映されることが多い。
本田翼さんはモデル出身で、インスタグラムのフォロワー数は335万人。そのため、世間の彼女に対するイメージは、
「ゲーム好きでインドア派」
というものがある。このようなイメージを持つ本田さんが、さっそうと荷下ろしをしたり、軽やかにトラックを運転したりすることで、従来のトラックドライバーとのギャップが広がり、印象的になることを狙ったのだろう。
また、このCMは物流や配送業界で働く人だけでなく、
・副業
・短期間の労働
として配送業務を選ぶフリーランスの若者にも訴求力がある。本田さんの爽やかで親しみやすいイメージは、新しい購買層へのアピールにも役立っている。
また、新CMを視聴する人がトラックドライバー不足をどのように捉えるかも重要だ。2024年問題を背景に、配送業界では柔軟な働き方が求められるようになってきた。トラックの運転をより手軽で魅力的に感じられるようになることが、ドライバー不足解消の一助となるだろう。若年層が抱える運転へのハードルの低さや経済性が注目されれば、効果が期待できる。常識や慣習にとらわれずに、エルフミオが広く受け入れられることが期待される。
本田翼さんのCM起用をきっかけに、より多くの若年層や女性がトラック運転手の仕事に興味を持ち、物流業界の未来がさらに明るくなることを願いたい。
今後のエルフミオのブランド戦略
エルフミオの「だれでもトラック」というコンセプトは、非常にユニークだ。
エルフミオと競合するトラックはほとんど思いつかない。強いて挙げるとすればトヨタの
「タウンエース」
などの小型商用車があるが、エルフミオはディーゼルトラックなので完全に差別化されている。特にAT限定免許で運転できるという点が、競合に対する強みを際立たせている。
さらに、エルフミオそのものをブランド化するための長期的な戦略も必要だ。トラックドライバー不足が進む物流業界では、エルフミオを通じてドライバーの多様化を進めることが求められている。これによって、誰にでも開かれた存在として認知され、時代に合わせて柔軟に進化することが期待される。
果たしてエルフミオは注目を集めることができるだろうか。現代の変化の激しい時代において、本田さんを起用した戦略は適切なのか。また、スマートフォンやタブレットを使ってオンライン販売チャンネルでトラックを「だれでも」、「いつでも、どこでも」購入できるという戦略はどのように展開されるのか。そもそも「だれでもトラック」は実現可能なのか。あなたならこの車をどのように使うだろうか。意見があれば教えてほしい。
09/26 11:51
Merkmal