カーナビの落とし穴? 表示される「到着時間」が信用できません、どう対処すればよいのでしょうか

突然変わる到着時間の謎

カーナビ(画像:写真AC)

カーナビ(画像:写真AC)

 運転中にナビを使うことが、今では非常に一般的になっている。ナビは、車を運転しながら目的地までのルートを案内してくれるツールで、1990年代後半から普及し始め、今ではほとんどの車に搭載されている。

 筆者(ズバリ英朗、道路ライター)も、行き慣れた場所や初めて行く観光スポットでも、ほとんどのケースでナビに目的地をセットして運転している。これは、目的地までのルート案内が欲しいのと同時に、

「到着時間の目安」

を知りながら運転したいからだ。ナビは、目的地をセットすると

・距離
・所要時間

を表示してくれる。これによってスケジュールを組み立てやすくなり、運転中に今後の予定を考える際にも役立つので非常にありがたい。

 しかし、運転中に到着時間の目安が突然前後することがある。時間が前倒しになるのは問題ないが、大幅に遅れる場合はため息をついてしまうことも多い。

 今回はその理由を探り、その対策を考えてみる。そして、今後のナビシステムがどのように進化すべきかについても“ズバリ”論じてみたい。

ナビ頼りの運転に潜むわな

渋滞(画像:写真AC)

渋滞(画像:写真AC)

 運転中に到着時間の目安が突然変わる理由はいくつかあるが、最も大きな要因は

「渋滞」

による大幅な遅延が見込まれる場合だ。ナビの性能にもよるが、出発時にすでに渋滞が発生している区間があっても、スムーズに進行できた場合の到着時間が表示されることがある。その後、運転中に渋滞情報が更新されるのだ。

 また、事故や故障車による突発的な渋滞や、自然発生的な渋滞も、急速に拡大することがあり、最新のナビシステムでも情報の認識が遅れることがあるため、到着時間が急に延びる原因となる。

 さらに、

「悪天候や道路状況の変化による交通規制や通行止め」

も、到着時間が遅れる要因となる。交通状況の変化は予測が難しく、ナビがリアルタイムで追いきれないことが現状としてある。

 ナビの到着時間が突然延びると、本当に困ることが多い。筆者もそうだが、ナビが普及した現在、多くの人が目的地への到着時間をナビに頼って運転している。予想していた到着時間が大幅に遅れるのは、ビジネスでもプライベートでも非常に困る。

 ビジネスでは、大事な取引を失ったり、相手方の信用を損ねたりするリスクがある。プライベートでは、例えばドライブ中に予定が狂い、本来行く予定だったスポットに行けなくなったり、行けても滞在時間を短縮しなければならなくなったりする。帰宅中なら、帰ってからの予定に影響が出たり、睡眠時間が削られたりすることも考えられる。

 筆者も、これまで何度もナビの到着時間に振り回されてきた。ただ、何も対策を採らずに振り回され続けるのもよくないと思い、さまざまな方法で対策を考え、実践してきた。

最新ナビと複数ルートの効果

スマートフォンのカーナビを見ながら車の運転をする人(画像:写真AC)

スマートフォンのカーナビを見ながら車の運転をする人(画像:写真AC)

 対策としてまず考えられるのは、ナビを最新のものにアップデートすることだ。新しいナビほど、交通情報を迅速にキャッチし、新しく開通した道路も反映されているため、より正確な到着時間が表示される。

 また、現在使用しているナビでも、設定を調整することで到着時間をより正確に表示させることが可能だ。ナビにはさまざまな設定オプションがあるため、自分の運転スタイルに合わせて最適な設定にすることをおすすめする。

 さらに、車のナビだけでなく、スマートフォンやパソコンのアプリを活用するのも有効だ。最近では、GoogleマップやYahoo!マップ、NAVITIMEなど、交通案内に優れたしたアプリが充実しており、これらを使えばナビでは把握しきれない渋滞情報も手軽に確認できる。

 筆者自身は、主にGoogleマップを使用している。Googleマップは、電車や車でのルート検索が可能で、目的地までの距離や所要時間をかなり正確に表示してくれる、非常に便利なアプリだ。

 Googleマップを使えば、目的地までの最速ルートや所要時間をかなり正確に確認できるが、運転中に交通状況が変わると対応が難しくなることがある。例えば、出発時には渋滞していなかったポイントが、運転中に渋滞が始まってその規模が大きくなることはよくあることだ。

 そのため、目的地まで少しでも早く到着するには、あらかじめ複数のルートを考えておくことが重要だ。出発地から目的地までの道路状況にもよるが、三~四つのルート候補を頭に入れておくと、いざというときに役立つ。ナビでルート検索をすると、

・推奨ルート
・有料優先
・一般優先
・距離優先
・別ルート

など、複数のルート候補が表示されることがある。これらを参考にしながら、自分なりにルートを検討しておくとよい。

 ルートによっては目的地の到着時間が変わる場合もあるし、ナビが案内するルートが渋滞しているときに、別のルートを選ぶことで到着時間が大幅に短縮されることもある。そのためには、道路や地理の知識を深めておくことが必要だ。

ナビの未来、ITS時代

自動車(画像:写真AC)

自動車(画像:写真AC)

 現状のナビは主に「VICS」と呼ばれる道路交通情報通信システムを利用している。VICSは、FM多重放送やビーコンを使用して、渋滞や交通規制などの道路情報をナビに伝える仕組みだ。

 最近では、自動料金収受システム(ETC)2.0というシステムも徐々に普及している。ETC2.0は、従来のVICSよりも広範囲で、より迅速に交通情報を取得できる。さらに、ナビと連携することで、渋滞時には自動的に迂回ルートを案内してくれる。

 今後は、高度道路交通システム(ITS)と呼ばれる最先端の情報通信技術の進化が期待されている。国や自動車メーカーが、従来のVICSやETCを基にしたシステムの向上や新たなシステムの開発に積極的に取り組んでいる。

 現状では、リアルタイムでの交通情報の把握が難しいことも多いが、以前に比べて情報システムは確実に進化してきた。今後もさらなる進化に期待しつつ、交通状況にうまく対応しながら目的地までの到着時間をできるだけ短縮できるよう努めよう。

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