「北米国際自動車ショー」が1月開催に戻る深刻理由 経済効果は750億円、世界5大モーターショーに何が起こったのか

かつてはバイデン大統領も登壇

NAIASの様子(画像:NAIAS)

NAIASの様子(画像:NAIAS)

 北米国際自動車ショー(NAIAS、通称デトロイトオートショー)が2025年から1月に移動することが決定した。デトロイト自動車販売店協会が2024年1月、米国ネバダ州ラスベガスで開催された世界最大のテクノロジー見本市「CES 2024」で発表した。

 例年1月に開催されるCESとの重複を避けるため、NAIASは2022年から9月開催に変更されていた。主催者側の1月開催への意気込みは、あえてCESで発表したことからもうかがえる。

 NAIASは、世界5大モーターショー(デトロイト、ジュネーブ、ミュンヘン、パリ、東京)のひとつで、自動車メーカーやディーラーなど業界関係者が一堂に会し、販売や商談を行うイベントとされている。他のモーターショーに比べ、コンセプトカーやワールドプレミアは少ない。

 第1回が開催されたのは1907年で、海外の自動車メーカーが出展するようになったのは1957年からである。現在の形になったのは1989年からで、日本や欧州のモーターショーに並ぶ国際的なモーターショーに発展した。

 入場者数のピークは2003年の83万8066人で、2022年のプレスデーにはバイデン大統領が登壇するなど、約80万人の来場者が見込まれている。

 ショーのハイライトは、有名歌手によるチャリティーコンサートで、これまでに数億ドルの寄付金が集まっている。このショーがデトロイト地域に与える経済効果は5億ドル(約750億円)にも上ると推定されている。

減少の一途をたどる出展社

2022年のチャリティーコンサート(画像:NAIAS)

2022年のチャリティーコンサート(画像:NAIAS)

 コロナ禍で中止となった2020年と2021年を経て(2021年には代替イベントが開催された)、2022年以降は9月に開催されていた。屋外での展示や会場周辺でのイベントなどで集客が期待されたが、思ったほど集客が伸びなかったことが、開催時期を1月に戻した理由のひとつとされている。

 コロナ禍前後の来場者数を比較するためにNAIASのウェブサイトを確認したが、コロナ禍前の2019年(77万4179人)以降の来場者数は公表されておらず、ショーの集客力が低下していることがうかがえる。出展自動車メーカーの減少で、2019年からいわゆる高級車ブランドのポルシェ、アウディ、BMW、メルセデス・ベンツが相次いで出展を取りやめている。

 地元デトロイトを拠点とする米国メーカー3社(ゼネラルモーターズ、フォード、ステランティス)以外の出展社は、

・2019年:トヨタ/レクサス、ホンダ/アキュラ、日産/インフィニティ、スバル、ヒョンデ/起亜、フォルクスワーゲン(VW)、広汽集団
・2022年:トヨタ/レクサス、スバル、VW
・2023:トヨタ/レクサス、ヒョンデ、VW、BMW、テスラ

と、減少の一途をたどっている。2025年のショーが成功するかどうかは、出展社数をどれだけ増やせるか、ワールドプレミアの新型車をどれだけ発表できるかにかかっている。

冬季前に新車をアピール

会場内に設置された試乗コース(画像:NAIAS)

会場内に設置された試乗コース(画像:NAIAS)

 ショーの目玉のひとつは、会場内に設けられたドライビングコースを実際に走行できるコーナーだ。アップダウンや砂地など、さまざまなコースを走ることができるため、この試乗コーナーは大人気で、わざわざ屋外展示に頼る必要はなかったかもしれない。

 ショーを1月に戻したもうひとつの理由として挙げられているのが、ショー本来の目的である新車販売のプロモーションに重点を置いたことだ。

 米国市場の新車販売サイクルは、前年夏から翌年夏までのモデルイヤー制を採用しており、9月頃から新型車が発売されるのが通例となっている。また、新車販売のプロモーションは秋から冬にかけて行われることが多く、米国北東部などでは冬の天候が悪化する前に安全性などを考慮して新車を購入する傾向がある。

 こうしたことから、1月というタイミングは、消費者やディーラーなどに新型車をお披露目し、需要を喚起する狙いがあったと考えられる。しかし、9月開催では新車販売のプロモーションとのアンマッチがあったことは否めない。

 また、北米カーオブザイヤーは毎年1月に発表されるが、かつてはNAIASで授賞式が行われていたため、1月開催に戻ることで授賞式が再開されることになり、ショーコンテンツとしてこのような華やかなイベントを復活させる意義もある。

モーターショーの未来

NAIASのウェブサイト(画像:NAIAS)

NAIASのウェブサイト(画像:NAIAS)

 近年、世界各地で開催されるモーターショーの来場者数が減少傾向にあり、その将来が議論されている。

 2023年、東京ビッグサイトで開催されたジャパンモビリティショーも、東京モーターショーから名称を変更し、出展対象を自動車からモビリティに拡大することで出展者数を大幅に増やすなど、変化を遂げた。

 その結果、来場者数は112万人と前回(2019年)の130万人を下回ったが、ショー自体は成功したとの評価が多い。

 ウェブサイトによると、2025年は1月10日から20日までの開催が予定されており、米国のディーラーやデトロイト市関係者は開催復活を歓迎するムードだ。デトロイトの冬は極寒だが、それでも新型車を見に多くの来場者が訪れるのか、次回のNAIASが楽しみである。

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