日立製作所、グループ再編の総仕上げへ 日立金属売却で攻めの経営加速

 日立製作所が上場子会社の日立金属について、米投資ファンドのベインキャピタルと国内投資会社の日本産業パートナーズを軸とする日米ファンド連合と売却交渉を進める方針を固めた。日立製作所はここ数年、IT(情報技術)などの有望分野に経営資源を集中投入する一方、本業との関連が薄い子会社や事業を次々と手放してきた。すでに日立化成を昭和電工に売却するなど大半の子会社は整理済みで、日米ファンド連合との交渉が明らかになった日立金属売却はその総仕上げとなる。

 日立金属は、日立化成などとともに日立製作所子会社の「御三家」と呼ばれてきた。特殊鋼や磁石、電線などを手掛け、ニッチな分野ながら世界トップシェアを持つ製品もある。

 しかし直近の業績は厳しい。令和3年3月期の連結最終損益は460億円の赤字(前期は376億円の赤字)と、2期連続で過去最悪となる見通し。昨年10月には、早期退職の実施などでグループ社員の約1割にあたる約3200人の削減を打ち出している。

 しかも長年にわたる品質検査不正も発覚。昨年5月に当時の社長が引責辞任する異常事態となっていた。

 日立製作所は検討を重ねた結果、本体と金属の相乗効果は薄いと判断。昨年後半から売却に向けた入札の手続きを進めてきた。売却を急ぐ背景には、親会社と子会社がそろって上場する「親子上場」に対し、子会社の少数株主の利益を損ないやすいとの批判が高まっていることもある。

 同社はリーマン・ショック後の平成21年3月期に8千億円近い巨額赤字を計上したのを機に、子会社との関係を見直してきた。約51%を出資する日立建機株の一部売却を除けば、グループ再編で検討中の案件はほぼなくなることになる。

 一方で日立製作所は「社会イノベーション事業で世界ナンバーワンを目指す」(東原敏昭社長)として、ITで社会課題の解決や企業の生産性向上などを支援する「ルマーダ事業」などを強化してきた。コンピューターなどの「売り切り」と決別し、ITサービス中心のビジネスモデルへの転換も図る。M&Aにも積極的で、昨年はスイス重電大手ABBの送配電事業を約7千億円で買収したほか、今年3月31日には米ITベンチャーのグローバルロジックを約1兆円で傘下に収めると発表したばかりだ。

 日立金属売却で得た資金は成長投資などに充てられる見通し。経営目標に掲げる営業利益率の向上や海外売上高の拡大に向け、攻めの姿勢をさらに強めることになりそうだ。(井田通人)

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