調べればわかるのに… 大学教員が戸惑う「学生の検索離れ」の実態

デジタル・ネイティブ世代なのに検索できない理由は?(イメージ)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、大学でのオンライン講義が浸透してきた。課題提出や教員と学生のやり取りは、大学のポータルサイトや、「manaba(マナバ)」などのクラウド型教育支援システムを通じて行われている。一部の対面講義を除き、大学教員はいま随時学生からの問い合わせにウェブ上で対応している状況だ。

 このように、学生が直接教員と会話をする機会が減少するなか、学生のインターネット利用に関して、ある傾向が見られると語るのは、関東近辺の中堅私立大学で勤務する教員・Aさん(40代・男性)だ。

「ここ最近、自分で検索すれば解決する問題を、逐一教員に質問してくる学生が増加しています。実際に自分に送られてきたのは『“問題をはらむ”とはどういう意味ですか?』『概念という言葉がわかりません、もっと簡単に説明してください』『仮説とはなんですか?』『持論とはどういう意味ですか?』などといったもの。

 正直、検索すれば一瞬で解決するので、返信して伝えるのが大変です。知り合いの大学教員にも、大学ポータルサイトのQ&A機能から、『臨機応変の意味がわかりません。どういう意味ですか?』『メールアドレスはどうやったら取得できますか?』といった質問が届くそうです。対面で友人や教員に質問できないため、検索するのではなく問い合わせるのでしょう」(Aさん)

 オンライン化が進むなかで、一部の学生は教員を「お問い合わせフォーム」感覚で利用しているということだろうか。とはいえ、こうした現象は奇妙にも思える。いまの大学生は生まれたときからインターネットが当たり前のように存在する、通称「ジェネレーションZ(Z世代)」だ。真のデジタル・ネイティブ世代にもかかわらず、なぜこうしたネットリテラシーの低さが露呈するのだろうか。

 関西の私立大学で教鞭をとる大学教員(30代・男性)は、こう分析する。

「彼らはネットリテラシーが低いわけではありません。むしろ“高すぎる”がゆえに、検索エンジンで検索するという文化自体が『古い』のでしょう。1990年代末から2010年の間に生まれた世代は、小学生時代からYouTube、中学生からスマホを持ってTwitterに親しみ、InstagramのダイレクトメッセージをLINE変わりに使用している。

 日頃からInstagramやTwitterでのハッシュタグを使って欲しい情報にアクセスしているので、わざわざ検索エンジンを使わないのです。いまの学生は、もう『ググれカス』を知りませんからね(笑い)。ただ、上手に調べることも一つの大事な能力です。図書館の蔵書や論文検索、新聞・雑誌アーカイブなど、学術的な営みにおいて検索のスキルは非常に重要です。

 10年ほど前までは『今どきの学生は辞書で調べず、すぐネットで検索して済まそうとする』という若者批判がありましたが、今ではネット検索のスキル自体を教育すべきときを迎えているのではないでしょうか」(同前)

「ググれカス(ggrks)」とは、ネットスラングのひとつで、ネット掲示板上ですぐ人に尋ねず、自分で調べてから書き込みをしろという警句だが、2000年代生まれの学生たちにとっては、この言葉自体が死語と化しているようだ。

 徐々に顕在化してきた「学生の検索離れ」。オンライン講義は今後も続くことが予想されるなか、学生がみずから進んで検索し、わからないことをまずは自分なりに調べてみる習慣とスキルを養うことが求められる。

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