半年使って実感。モンベルが発明した寝袋は縫い目がないのに窮屈じゃない!高コスパな名作です

【アウトドア銘品図鑑】

多機能ランドセル、巫女装束など業種の枠を超えたプロダクトで話題のモンベルですが、本業のアウトドア分野での勢いは止まりません。

近年の発明品といえば、隔壁がないのにダウンの偏りを防ぐスパイダーバッフルシステム! 2020年に発表された構造で、当初は900FPモデルにのみ搭載されていましたが、2021年には800FPで手に取りやすいモデルがラインナップに加わりました。それが「シームレス ダウンハガー800」。

キャンプシーンでは快適温度8℃、使用可能温度3℃の「#5」がバランスのよい3シーズンモデルとして人気を博しています。

半年ほど使ってその魅力を探ってみました。

 

■スパイダーバッフルシステムをおさらい

そもそもスパイダーバッフルシステムって?

▲「シームレス ダウンハガー800 #5」(2万9700円)

通常、寝袋に限らずダウン製品は、軽くて細やかなダウンがあちこちに移動して保温力が片寄ることがないよう、隔壁を設けています。

アウトドアブランドのダウン製品では隔壁ごとにダウン量を細かく設定していて、ダウンの偏りを防ぐ隔壁は重要な役割を担っているんです。

けれども隔壁を作るとその分だけ重くなるし、縫い目近くはダウンが圧迫されてしまう!

スパイダーバッフルシステムはダウンが絡みつく特殊な糸を張り巡らせることで、隔壁に頼らなくても一定量のダウンを固定する技術。生地は防水ではなくはっ水加工のみですが、縫い目がないので水が染みこむ前に水滴を払ったり拭き取ったりできることも強みと言えるでしょう。

写真のように吊り下げると頭や足もとに糸に絡まっていないダウンが落ちちゃいますが、横に置いてフワッと均一にさせてから寝袋の中に潜り込めば、大きな偏りはなし。ふんわり包まれて朝までぐっすり眠れるんです。

 

■収納サイズは1Lペットボトルくらい

「シームレス ダウンハガー800 #5」のサイズはφ12×24cm、総重量462g。1Lのペットボトル容器がおおよそ8×8×H25cmですから、これよりもわずかに大きいくらい。

ただ収納袋が結構ギチギチに詰めなくちゃいけないので、寝坊して慌てて撤収するなんてときは困りもの。あわてんぼうは別売の「コンプレッションスタッフバッグ S」(2860円)あたりを用意しておくほうがいいかもしれません。

 

■シームレスでも窮屈じゃない

モンベルの寝袋は、繊維が斜め方向に伸びる性質と糸ゴムを組み合わせることで最大伸縮率135%を誇ります。体に沿うような感じなので、あたたかい空気を逃がしにくいこともポイント。

でも、縫い目がない=糸ゴムを使っていないとなると、ストレッチ性はどうなるの? そんな疑問を解決する答えが寝袋の内側にありました。

外側は縫い目がなくても、内側にはしっかり糸ゴムが縫い付けられているではありませんか! 内側だけなのは不安でしたが、潜り込んで手足を動かしても窮屈な感じはほとんどなく、ほどよくフィット。旧モデルに似た寝心地です。

 

■噛みにくく、勝手に動かないスライダー

寝袋選びでは保温力だけでなく、ファスナーのデキも評価すべきポイント。

どんなに眠くてもファスナーが噛んじゃったら、その噛みを解消しないと寒くて眠れなくなっちゃうし、眠いものだからうまくファスナーの噛みを修正できずにイラッ…という悪循環。

「シームレス ダウンハガー800」シリーズは、生地を噛みにくく、動いたときに勝手に開くことのないオートマチックロック・ジッパーを採用しています。これ、スムーズに動くし、たとえ生地を噛んでもリカバリーしやすいように感じます。

「#5」は真冬の雪中キャンプでは心もとない保温力ですが、関東の平地であれば3月から12月半ばまで対応する実力を有しています。

おまけに表側には縫い目がないので、シームレスじゃない寝袋に比べるとダウンが飛び出る確率は半減するわけで、かなり長く使えそう。

「シームレス ダウンハガー800 #5」は年間の稼働率が高いうえ、スパイダーバッフルシステムという発明により長寿命という、コスパ的にも大満足なプロダクトに仕上がっていました。

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<取材・文/大森弘恵 撮影協力/モンベル>

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X

 

 

 

 

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