災害時に“ガチで役立つ”クルマ5選

我が国ニッポンは、紛れもない“災害大国”です。いや決して煽るつもりはないのですが、事実は事実。日々、地震、津波、噴火、洪水といった数多のリスクと隣り合わせで生活しているのです。

近年、防災意識は高まりつつあり、水や食料などを備蓄する人も増えていますが、クルマにまで目を向ける人はごく少数。実は災害時に大いに役立つどころか、命を救う可能性も秘めた存在でもあるのです。そんな「災害時にガチで役立つクルマ」をご紹介します。

 

1. やっぱり「走破性」と「車高」は重要

災害時という観点でまず求められるのは「走破性」でしょう。自宅で籠城を決め込むならいざ知らず、災害により荒れた路面を走るとなれば、やはり4WDは大前提。そこに車高の高さ(地面からのクリアランス)も加わります。

たとえ300km/h出る4WDのスポーツカーを持っていても、散乱したガレキを前に「いやバンパー割れちゃうんでちょっと…」とは言ってられませんからね。

ボディサイズに関しては、ケースバイケースかとは思います。大きく重いクルマ
は安定感がある一方で、狭い道には入りづらい。逆に小さく軽いクルマは安定感に欠ける傾向があるものの、狭い道もスイスイ入って行ける、と。

アメリカなどであれば前者が良さそうですが、狭い道が多く住宅も密集傾向にある日本では、後者の方が適しているように思えます。

以上の理由から、まず1番目にご紹介したいのは、スズキの「ジムニー」(155万5400円〜)です。

▲7月20日に一部仕様変更され、5MT(5速マニュアル)車に停車時のアイドリングストップシステムが追加されます

「だろうね」の声が聞こえてきそうですが、やはりジムニーは外せません。伝統のラダーフレームを採用した軽四駆最強の1台で、道なき急坂もグイグイ登り、狭い道もスイスイ駆け抜けます。

▲こんな荒地もグイグイ登っていくジムニー。“小さな巨人”の称号も納得ですよね

トライアル競技(まんまジャングルみたいな所を走る)で多くの人に支持されていることが、走破性の高さを証明しています。災害時は路面状況が悪い可能性が高く、ガレキを避けながら走る際には、軽自動車ならではのコンパクトなボディが有利に働きそうです。

 

2. 現代災害において「電力」のキープは必須

さて、ここからはちょっと視点を変えまして、“電力”にフォーカスします。昭和の停電時はローソクに火を灯していた(なぜかテンションが上がった)ものですが、現代とは状況が異なります。最低限、モバイルバッテリーやポータブル電源を用意するなど、スマホなど情報取得ツールの電力源は必ずキープしておきたいですね。

ひと口に災害と言っても、地震、津波、噴火、洪水などさまざまな種類があります。これらの災害が起きると電気・水道・ガスといった“ライフライン”がストップする可能性があり、その中でも注意したいのが“電気”なんです。

水関連はミネラルウォーターや携帯トイレを準備すればOK、ガスはカセットコンロとボンベでカバー、では電気は…ということで、今ポータブル電源が売れまくっていますよね。ただ、スマホやノートPCの充電用途なら万全ですが、ウン十万円する大容量モデルを買ったとしても、エアコンや電子レンジを使いながら何日も“生活”できるほどの容量はありません。

そこで注目したいのが、車内にコンセントを備えるクルマです。クルマを走らせるほどのパワーを備えていることからも分かる通り、その容量はポータブル電源の比ではありません。しかもエンジンがかかっていればバッテリーに充電してくれるため、容量を気にすることなく使用できます。

2011年の東日本大震災でもコンセントを備えるクルマが大活躍しましたし、そのニュースも広く取り上げられていたので、そう言えば…という人もきっといらっしゃるでしょう。

コンセントを備えるクルマは比較的トヨタ車に多いのですが、ここでは「アルファード」(359万7000円~)をご紹介したいと思います。

もし車内で避難生活を送るとなった時にゆったり過ごせますし、エコノミー症候群のリスクも軽減できますからね。

同車が備えているのはAC100V、1500Wのコンセントで、普段家の中で使っている電化製品をそのまま使用できます。「1500Wってどのくらい?」って話ですが、これは一般家庭に備わるコンセントひとつと同じ容量です。つまりエアコンや電子レンジといった消費電力の大きい家電も、使おうと思えば問題なく使えます。

 

3. EVなら停電しても数日間はいつも通り過ごせる!

さて、次にご紹介したいのは、電気自動車(Electric Vehicle、以下EV)の日産「アリア」(539万円~)。日産には日本にEVの存在を知らしめた「リーフ」がありますが、ここではバッテリー容量が大きく、SUVフォルムで車高も高いアリアを取り上げたいと思います。

▲アリアのバッテリーは91kWhと66kWhの2種類。駆動方式は2WDと4WDどちらもラインナップしています

さてこのアリア、何がすごいって、停電時などに家の家電を動かすことができるんです(リーフもできます)。「Vehicle to Home」の略で“V2H”と呼ばれ、別途V2H機器を設置すれば、数日間は冷蔵庫などの生活家電を使用したいつも通りの生活が送れます。

▲電気代の安い夜間に充電し、日中はアリアを蓄電池として使用すれば節約にもつながります。ピークシフトにも貢献できますね

 

4. PHEVは充電・給油ナシで遠くまで避難できる

次は“プラグインハイブリッド”と呼ばれる「PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)」というジャンルのクルマになるのですが、まずはトヨタの「プリウスPHV」(346万4000円~)をご紹介したいと思います。

▲エンジンを使わず、モーターのみで走るEV走行距離は約60km(WLTCモード)。近所への買い物といった日常使いは、ほぼEV感覚で使えます

とその前に「PHVってなってるけど、“E”が抜けてない?」と思われた方、これ誤字じゃないんです。PHEVと言ったりPHVと言ったりなんだかややこしいんですが、コレどっちも同じことです。

メーカーによって言い方が変わっているだけで、その昔、今で言うHIDヘッドライトのことを「キセノン」と言ったり「ディスチャージ」と言ったりしていたのと同じ感じです(むしろ分かりにくい?)。

国際的なトレンドとしては「PHEV」なのですが、なぜかトヨタは「PHV」としています(以下、ややこしくなるので車名以外はPHEVで統一します)。

ちょっと脱線しちゃいましたが、PHEVを超簡単に説明すると「充電できるハイブリッドカー」または「EVにエンジンが付いたクルマ」と考えてもらうのが分かりやすいと思います。EVのように充電もできますし、エンジンを搭載しているため、それ単体でも走れます。結果、航続距離が長くなるメリットを備えています。

▲オプションで「ソーラー充電システム(28万6000円)」を付ければ、ガソリンやバッテリーがカラになっても、太陽さえあればなんとかなる!?

また、プリウスPHVは先のアリアのようにV2Hもできますし、かつ航続距離が長いため、いざという時に遠くまで避難できます。EVはバッテリーがカラになったら終わりなので、長距離避難という観点ではPHEVに軍配が上がるのです。

「そんなシチュエーションあるっけ?」とお考えの方もいらっしゃるでしょうが、火山の噴火の場合は長距離避難が必要になる可能性が高いと言われています。マグマなどの直接的な被害も怖いですが、もっと怖いのは広範囲に影響を及ぼす火山灰です。

噴火は地震と密接な関係があるため日本ではリスクが高く、いざ大規模噴火となれば火山灰が広範囲に広がり、電気・ガス・水道といったライフラインが長期間に渡り寸断される可能性が低くありません。

そんな時は無理に残ることを考えずに、落ち着くまでは影響の少ないエリアに避難するのも賢い選択のひとつだと思います。その時、途中の充電スポットやガソリンスタンドがいつも通り稼働している確率は高くないでしょうし、稼働していたとしても混雑は必至。その点を考慮すると、航続距離の長いPHEVが俄然輝いてくるのです。

 

5. こもってヨシ、逃げてもヨシの究極PHEV

ここまで読んで「プリウスPHVが4WDで車高の高いSUVだったら最強では?」と思った人、まさにおっしゃる通り! 実はあるんです、とびっきりの一台が。

それが三菱の「アウトランダーPHEV」(462万1100円~)です。パリ・ダカを制した「パジェロ」やWRCを席巻した「ランエボ(ランサーエボリューション)」を生み出したメーカーですから、四駆性能の高さは言わずもがな。

▲S-AWC(Super All Wheel Control)を搭載し、走破性もハイレベル。EVとしての走行可能距離は87km(WLTCモード)となっています

そんな卓越した運動性能に加え、アリアやプリウスPHVのようにV2Hも可能というインテリジェンスを備え(もちろん1500Wのコンセントもアリ)、さらにどこまでも走り続けられる体力まで持ち合わせているなんて…。家で在宅避難するもヨシ、遠方まで避難するもヨシと、さまざまな災害パターンに対応できるのがアウトランダーPHEV最大の強みです。

ちなみにどこまで行けるのかって話ですが、無給油・無充電での航続距離は、約1000km。東京から陸路で西に向かった場合、なんと九州まで避難できます。これだけ距離を稼げれば、きっと影響のない、または少ないエリアまで移動できるではずです。

*  *  *

もちろん個々の考え方や置かれた環境、災害の種類によって最適解は変わると思いますが、ここで紹介したクルマは、いざという時にきっと手厚くサポートしてくれるはずです。次のクルマ選びの際は「防災」という観点を、気持〜ち加えてみるのもいいかもしれませんよ。

<文/粕川岩治>

 

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