金型など下請けに無償で保管させる 公取委、住友重機子会社に勧告

公正取引委員会

 自衛隊艦船などの部品製造に使う金型や木型を下請け業者に無償で保管させたとして、公正取引委員会は21日、住友重機械工業(東京都品川区)の完全子会社の下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請)を認定し、再発防止を勧告した。

 勧告を受けたのは「住友重機械ハイマテックス」(愛媛県新居浜市)。金属を薄く延ばす「圧延機」のロールのほか、自衛隊艦船のいかりや海上保安庁が発注するブイにつなぐ「マリンチェーン」の製造をしている。

 公取委の発表によると、同社は遅くとも2023年4月から24年7月の間、新たな発注の見通しが立っていないのに、同社所有の製造用の金型や木型など178点を下請け業者5社に無償で保管させていた。この間に一部の金型などは使用されたこともあったが、大半は保管期間の方が長く、うち半数ほどは一度も使用されていなかった。同社は公取委の調査を受け、不当に保管させた費用計約320万円を5社に支払ったという。

 同社はホームページで「再発防止に努める」などとするコメントを出した。親会社の住友重機械工業のIR広報部は取材に、「グループ会社全体で同様の違反がないか調査を進めており、下請法の順守を徹底する」とした。

 製造業では、発注や修理の度に使う金型などを下請け業者に無償で保管させる商慣習が問題視されてきた。公取委は監視を強めており、今年7月にはトヨタ自動車の子会社に同様の違反で再発防止を勧告した。(高島曜介)

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