高額療養費の上限引き上げ、議論スタート 背景に歳出削減 厚労省

厚生労働省が入る合同庁舎=東京都千代田区

 医療費の患者負担に月ごとの限度を設けた「高額療養費制度」について、厚生労働省は21日、負担の上限額を引き上げる議論を審議会で始めた。子ども関連政策の財源確保に向けて医療費の抑制を迫られているのに加え、保険料負担の軽減も課題だ。厚労省は、年内に結論を得たい考え。

 高額療養費制度は、大きな手術や高額な薬剤の使用によって、医療費の支払いが膨らんだ際、所得などに応じた限度額を上限に負担を抑える仕組み。公的医療保険の「セーフティーネット」として機能している。

 同日開かれた審議会の部会では、(1)限度額の一定程度引き上げ(2)所得区分の細分化(3)支払い能力に応じた負担――などを提案した。今後、上げ幅の議論を進める方針。制度を実質的に見直した約10年前に比べて、世帯主の収入が7%程度、世帯収入が16%程度増えている状況をもとにする。

 厚労省は水面下で、2025年夏に上限を引き上げ、26年夏に所得区分を細分化する2段階の実施案を考えている。第1段階では、70歳未満の場合、所得区分が真ん中の層(年収約370万~約770万円)で5400円引き上げることなどを検討。低所得層の上げ幅は軽減する方針だ。

■子ども政策の財源を捻出……

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