働く高齢者の年金減額を見直しへ 高所得者の年金保険料は引き上げへ
65歳以上の働く高齢者で、一定の収入がある人の年金を減額する「在職老齢年金」をめぐり、厚生労働省が制度を見直す方針を固めた。年金の減額が始まる基準額を現行の50万円から引き上げたり、基準額そのものを撤廃したりすることを検討している。高齢者が働きやすくするねらいだが、将来年金を受け取る世代の給付減につながるという課題もある。
近く審議会で検討案を示す。65歳以上で働いている人は現在、賃金と厚生年金(基礎年金を除く)の合計が50万円を超えた場合、厚生年金(同)が減額され、一定額を超えると全額がカットされる。高齢者が働く意欲をそぐとの指摘もあり、人手不足に悩む経済界からも廃止を求める声が上がっていた。
厚労省の試算では、基準額を53万円に引き上げた場合は900億円、62万円に引き上げた場合で2200億円、撤廃すれば4500億円、年金の給付が増えることになる。働く高齢者の年金が増える分、将来年金を受け取る世代の厚生年金部分は引き下げられる。
2022年度の基準額は47万円だったが、高齢者50万人が支給停止になった。今後、撤廃の有無や縮小幅について議論を詰める。
厚労省は働く高齢者の年金制度を見直す一方、高所得者の年金保険料も引き上げる方針だ。
11/20 08:40
朝日新聞社