賃上げ率2.5%でも「他産業に追いつかず」 介護事業所団体が調査

全国老人保健施設協会など介護事業所9団体が会見し、賃上げのための対処を国に求めた=2024年9月19日、東京都千代田区、吉備彩日撮影

 特別養護老人ホームや訪問介護など介護事業所の正社員の今年度の賃上げ率(前年度比)が、2.52%だったとする調査結果を業界団体が発表した。今年度の介護報酬改定では、来年度まで2年間の賃上げ率4.5%を前提に報酬が引き上げられたが、団体からは「さらに賃上げする余裕はない」と苦境を訴える声があがった。

 調査は、全国老人保健施設協会(全老健)など介護分野の事業者からなる9団体が、8~9月に実施。2060件(8761事業所分)の回答を集計した結果、正社員の今年度の賃上げ額は平均6098円で、前年度の平均4600円の約1.3倍となった。賃上げ率は2.52%だった。賃上げ全体のうち基本給を底上げするベースアップ(ベア)による引き上げは平均3299円で、1.36%の賃上げ率にとどまった。

 全老健の東憲太郎会長は、「今年度に2.5%分の賃上げをするという政府との約束は果たせた形だが、ベアはあまり進んでいないことから、現場は厳しい経営状況だったのでは」と分析。今年の春闘での賃上げ率が5%以上となり、10月には最低賃金が過去最大幅で引き上げられることなどを踏まえ、「とてもじゃないが他産業の賃上げには追いつかない。人材流出を防ぐには報酬が足りない」と話した。

■加算、十分取れていない可能性も

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