万博、最大98億円の追加費用 ペット同伴は見送り「不協和音ない」

日本国際博覧会協会の理事会の後、会見する十倉雅和会長(左)と石毛博行事務総長=2024年9月13日午後4時49分、大阪市北区、諏訪和仁撮影

 来年4月に始まる大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は13日、海外パビリオンの建設遅れやメタンガス対策で増える費用が、最大で約98億円になることを明らかにした。また、10月13日にも売り出す紙チケットは、一部の期間で来場日時の予約を不要とするが、その期間については決着に至らなかった。

 協会は13日、大阪市内で運営を話し合う理事会を開き、費用が約88億~98億円増えると説明した。これまでに節約できた分をあてるほか、会場建設費2350億円の中に確保した予備費130億円から出す。予備費をいくら取り崩すかは明らかにしなかった。

 今回の費用増は、海外パビリオンの建設の遅れや撤退のほか、埋め立てた地下から発生するメタンガス対策のためだ。

 海外の参加国が独自に建てるパビリオン「タイプA」の遅れが目立ったため、協会は昨年、かわりに簡易型を建てて引き渡す建て売り型の「タイプX」を提案。最大25棟と見込んだが、参加国の動向をみて9棟を建て、実際に引き渡したのは5棟だった。

 このため、残り4棟分の建設費を負担することになった。加えて、4棟を複数国が共同で出展する「タイプC」や休憩所に転用する工事費用に約32億円かかる。また、タイプAでの出展をやめた5カ国の区画を、人工芝やテントをはって休憩スペースにするための費用を約20億~30億円とした。

 ガス対策には36億円を見込む。うち32億円は建設費で、建物に濃度を測るセンサーを多数取り付け、数値を公開するシステム構築などに使う。残る4億円は運営費から出す。

 会場建設費はすでに2度増やしている。十倉雅和会長(経団連会長)は「建設費、運営費とも追加措置が必要とは考えておりません。細かい低減努力をしているので、今の時点では自信を持っています」と答えた。

 理事会では、会場へのペット同伴を多数決で見送ることに決めた。実現すれば万博初の取り組みとなるはずだったが、同伴は小型犬に限られ、細かな条件があり、費用も割高と判断した。これまでの理事会で多数決を取ったことはないという。

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