エレベーターも乗りこなす 三菱やパナが競うロボット市場

ロボットが単独でエレベーターに乗ることができる三菱電機のサービス(三菱地所提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大で作業現場の「非接触」が求められるなか、電機メーカーなどが人の代わりに荷物の搬送や清掃、警備などを行う「サービスロボット」関連の技術開発を競っている。三菱電機はロボットが単独でエレベーターに乗ることができるサービスを始め、オムロンは屋外作業の安全性を高めるセンサーを発売。パナソニックは人と衝突した際のリスク低減に力を入れる。ロボットの安全運用に関する国際規格でも日本が審議を主導しており、国際競争力強化に期待が集まる。(山本考志)
夜間のビル清掃に最適
 エレベーター前に廊下を自律走行していたロボットが停止すると「上」のボタンが点灯。ロボットは開いたドアからスムーズにエレベーターに乗り込み、目的階に付くと自動で降りて再び廊下を進み始める。三菱電機が10月1日に発売した「ロボット移動支援サービス」の様子だ。
 これまではロボットがビルの階層を越えて移動するには、人がエレベーターに同乗して補助する必要があった。このサービスでは、エレベーターがインターネットを通してロボットから要求を受けると、ドアの開閉などを行って目的階までの移動を手助けする。
 同社の石井周作・ビルシステムエンジニアリングセンター長は「人がほとんどいなくなる夜間のビルの清掃作業などでも、各階にロボットを配備することなく効率的に運用できる」と利点を強調する。
ぶつかった際の痛み軽減
 ロボットの活動範囲が広がればその分、安全性の向上も求められる。
 オムロンが9月に発売したセンサーモジュール「B5Lシリーズ」は、障害物を検出しにくかった強い日光の下でも、特定の波長の光を照射し即時に広範囲の3次元情報を測定できる。自走式のロボットに組み込めば、屋外でもより正確に人や物を回避したり、段差からの転落を防いだりしやすくなる。
 また、病院などで活躍する自立搬送ロボット「HOSPI(ホスピー)」を手掛けるパナソニックは、ロボットが人とぶつかった際の被害を減らすため、人が痛みを感じる機能を模した「ペインセンシングダミー」を開発した。シリコーンゴムで覆われた腕型のダミーをロボットに当てることで、人がぶつかった際に体内で起きる変化を内部のセンサーで推定。ぶつかった際のリスクを下げるためのロボットの形状や動きの設計に生かす。
国際規格策定を主導
 矢野経済研究所が今年4月に発表した調査結果では、業務用サービスロボットの令和元年度の国内市場規模は前年度比27・9%増の64億6400万円で、4年度には元年度の2倍の129億1500万円まで成長すると予測している。
 この調査では新型コロナの影響は考慮されておらず、感染対策の消毒作業や省人化でさらにサービスロボットの導入が進むことが予想される。このため、メーカー側だけでなく、ロボットを扱う事業者側にも安全対策が求められる。
 日本では昨年5月、ロボットサービスを提供する事業者にロボットの安全運用を求める日本産業規格(JIS)が世界に先駆けて制定された。今年9月には、国際標準化機構(ISO)の技術委員会でJISを基に国際規格案が審議されることも決まり、日本が議長役を務める。
 国際規格化を進める国立研究開発法人「産業技術総合研究所」は「国際的にも感染症の蔓延(まんえん)などによるロボットサービスのニーズと安全マネジメントの必要性が高まっている。日本発のロボットが世界中で活躍できるよう、早期の国際標準化にむけた審議を進めたい」としている。

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