【経済インサイド】新生・東芝が始動、企業スポーツは存続

「東芝が中期経営計画を発表」人員7千人の削減など、中期経営計画の発表をする車谷暢昭会長兼 CEO=平成30年11月8日午後、東京都港区(宮川浩和撮影)

 東芝の中期経営計画の達成に向けた準備が着々と進んでいる。中計が始まる平成31年4月から傘下の事業会社が手がけていた電池事業をはじめ、エレベーター、照明、空調事業というビルソリューション関連を東芝本体に吸収することが判明した。4事業を本社直轄運営に切り替える。東芝の車谷暢昭会長兼最高経営責任者(CEO)のもとで、新生・東芝がいよいよスタートする。
 ■事業間の連携許可
 東芝は、巨額損失の影響で29年10月に電力や社会インフラなど主要4事業を新会社に分社化していた。巨額損失の影響で、債務超過に陥ったことで、東京電力福島第1原子力発電所の廃炉作業に必要な「特定建設業」の許可が更新できないなどの支障が出ることを回避した。
 今回、中計で成長領域に位置付けた「電池」「ビルソリューション」の組織運営体制を見直すことで、「意思統一を図り、事業間の連携を深めていく」(広報・IR部)。今後、IT関連事業についても本社直轄の運営に切り替えていくとみられる。
 車谷CEOは産経新聞のインタビューで中期経営計画について、「景気の変化に強い事業構成に組み替えた。中期経営計画で掲げた営業利益率8%(30年度見通しは1・7%)は可能」と述べた。「米中貿易摩擦や景気変動の影響は受けない」としている。また、「中期経営計画は投資ファンドなど投資家からの評判もよかったので着実に実行していきたい」と自信をみせた。
 一方で、売却した家電や稼ぎ頭だった半導体事業は、買い戻さない方針だ。新たなM&Aについても当面実施しないとしている。
 その理由として、車谷CEOは、「家電は利益率が低い。半導体は景気に左右されるうえ、膨大な設備投資がかかる」ことを挙げる。M&Aについては、「買収金額は、EBITDA(税引き前利益に支払い利息や減価償却費を加算)5~8倍でも高いが、今や10倍、20倍は当たり前。バブルの様相を呈している」(車谷CEO)とみているためだ。
 ■ブランド力は保持
 懸念されるのが東芝のブランド力の維持だ。一連の経営危機でダメージを負ったうえ、家電事業がなくなったことで、一般消費者向けの商品が皆無となり、ブランド力をアピールすることが難しくなっているからだ。ただ、車谷CEOは、独シーメンスがすでに家電業界から撤退し、鉄道や工場の効率化サービス、エネルギー、医療などの事業に精力を注いでいるが、「ブランド力が落ちていない」と指摘。家電がなくなってもブランド力は保てるとの見方を示す。
 一方で、企業スポーツは維持する方針で、「ラグビー、野球は存続する」と断言した。「膨大なコストがかかるわけでもなく、会社を束ねるうえでも意味がある」としている。合理化徹底のためにラグビーのチーム運営からの撤退がささやかれていたが、車谷CEOは「撤退するといったことはない」ときっぱり否定した。
 加えて、現在、人気女優の有村架純さんを起用する企業イメージCMが好評で、今後も続ける方針。こうした施策でブランド力を保つ戦略のようだ。(経済本部 飯田耕司)

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