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【ゲーム新時代】「eスポーツ」に世界熱狂 年収1億円のプロゲーマーも 将来は五輪種目!?それでも日本は7年遅れの声

サイバーZが運営するeスポーツイベント「RAGE」。第4回大会には約2000人の観客が詰めかけた=6月10日、東京都新宿区

 大歓声と、応援用のスティックバルーンをたたく音が東京・高田馬場のイベント会場に響き渡った。サイバーエージェント子会社、サイバーZが6月に開いたeスポーツ大会「RAGE」。スマートフォン向けゲーム「シャドウバース」部門の決勝は、予選から好成績で勝ち残った優勝候補が2本先取し、下馬評通りかと思われた局面からの逆転という劇的な幕切れになった。大会プロデューサーの大友真吾は「全身に鳥肌が立った」と興奮を隠さない。
 チェスが海外で「マインドスポーツ」と称されるように、対戦コンピューターゲームでプレーヤーが腕を競う「eスポーツ」は日本よりも海外で活発だ。優勝者には賞金が贈られ、海外では年収1億円超の「プロゲーマー」も少なくない。
 現在、米シアトルで開催中の「DOTA2」という大会での賞金総額は、2300万ドル(約25億円)超。チーム同士で対戦するパソコン向けゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」世界大会の決勝は、動画配信で1400万人が同時に視聴した。
 スポーツとeスポーツとの連携も進んでいる。サッカーの独ブンデスリーガや英プレミアリーグに所属するいくつかのクラブは、傘下にeスポーツのチームを持つ。また、米プロバスケットボール協会(NBA)は来年からeスポーツリーグを開設する予定だ。
 日本でも、サッカーJリーグの東京ヴェルディがeスポーツのチームをつくったが、こうした動きはまだ限定的。一般社団法人、日本eスポーツ協会(JeSPA)事務局長の筧誠一郎は「世界標準と比べて7年くらい、遅れている」と指摘する。
 任天堂やソニーが世界のゲーム機市場をリードしてきた日本のゲーム産業。だが、専用のゲーム機で遊ぶスタイルの普及がeスポーツではあだとなった。
 欧米や他のアジアの国々では、パソコンでゲームを楽しむ利用者が多く、インターネットを通した対戦や協力といった遊び方が定着した。その結果、1990年代後半からeスポーツが活発化したという。
 今年4月、関係者にとってのビッグニュースが飛び込んだ。アジアオリンピック評議会が2022年の中国・杭州アジア大会で、eスポーツを正式種目にすると発表したのだ。18年のジャカルタ大会でも、デモンストレーションとして競技するという。将来、eスポーツがオリンピック種目になることも夢物語とはいえない状況だ。
 日本のeスポーツを強化するには、どうすべきか。JeSPA理事で元東大大学院教授の馬場章は、「頂点を高めて底辺を広げ、大きな三角形をつくることが重要だ」と話す。頂点とは世界で優れた成績を残す選手を育てて「スター」をつくることで、底辺は競技者人口の裾野を広げることだ。
 eスポーツ先進国の韓国でも「海外の有名な大会で韓国選手が好成績を収めたことで、関心が広がった」(ネクソンコリアeスポーツチームマネジャーのキム・セファン)という。
 米ラスベガスで7月開かれた格闘ゲーム大会「EVO」では、「ストリートファイター5」部門で日本人選手「ときど」が優勝。裾野の拡大についても、JeSPAが全国18カ所に支部の設置を進めている。
 日本では景品表示法などの法規制で、海外ほど高額の賞金を出せないという事情があるほか、eスポーツを冠する団体が複数あり、推進力が分散していると指摘される。eスポーツという世界の潮流で存在感を示すために、乗り越えるべきハードルは多い。(敬称略)
eスポーツ エレクトロニック・スポーツの略で、コンピューターゲームの勝敗を競い合うこと。会場だけでなく、インターネット中継で同時に多くの人が観戦できる。サッカーや格闘技、銃撃戦、チーム対戦、カードバトルなどのジャンルがある。世界での競技人口は1億人以上とみられる。国内には、「日本eスポーツ協会」や「日本eスポーツ連盟」などの推進団体が活動している。