新「ALPHARD EV PLUS」世界初公開! 25年発売予定の進化版「アルファード」が凄い!? 第2弾も検討? TOM'Sの提案とは

TOM'Sは「ALPHARD EV PLUS」を東京オートサロン2024で世界初公開しました。「すべてのハイブリットカーをより高性能にチューニング」という提案方法とはどのようなものなのでしょうか。

これまでにないユニークな「ALPHARD EV PLUS」

 トヨタのオフィシャルチューナー「TOM’S(トムス)」といえばモータースポーツへの参戦、そしてそこでつちかった経験をフィードバックさせたチューニングなどが有名です。
 
 しかし、2024年1月に開催された東京オートサロン2024では一風変わった出展車両が注目を集めました。
 
 それは「すべてのハイブリットカーをより高性能にチューニング」を開発コンセプトにした第1弾車種となる、これまでにないユニークな「ALPHARD EV PLUS」です。

TOM'Sが新たに提案する「ALPHARD EV PLUS」(撮影:加藤博人)

TOM'Sが新たに提案する「ALPHARD EV PLUS」(撮影:加藤博人)

 トムスは1974年、トヨタのファクトリードライバーである舘信秀氏と、トヨタのディーラーにおけるスポーツコーナー責任者の大岩湛矣氏によって設立されました。

 その後、マカオやマレーシアなどアジア各地のレースに参戦して優勝をはじめ輝かしい戦歴を残します。

 1978年には通称「井桁」(いげた)とも呼ばれるホイール「トムスラリー」を発売、

 トヨタのチューニングショップとして名を馳せていきます。1980年代にはトヨタのグループCカーの開発に関与するだけでなく、トヨタのワークスチームとしてル・マン24時間耐久レースにも参戦。

 それ以降、全日本ツーリングカー選手権(JTCC)や全日本グランドツーリングカー選手権(JGTC)、そして現在はスーパーGTやスーパーフォーミュラなどの国内レースシリーズでもお馴染みの存在となりました。

 モータースポーツ事業以外に、トムスはトヨタ車種向けのエアロパーツやホイール、吸排気系、電子制御系、足回りのチューニングなども手がけています。

 また、それらパーツを用いたコンプリートカーの販売もおこなっており、トムスといえばこれらカスタムやチューニングでも有名です。

オートバックスブースに展示された「TOM’S EV+」(撮影:加藤博人)

オートバックスブースに展示された「TOM’S EV+」(撮影:加藤博人)

 そんな中、カスタムカーやチューニングパーツの祭典「東京オートサロン2024」にてトムスはこれまでにない新たな分野の製品を公開しました。

 オートバックスのブースにてBYD「ドルフィン」やヒョンデ「アイオニック5」、テスラ「モデルY」、そしてオートバックスが2002年に発売した「ASL ガライア」のBEVモデルとともに、トムスが開発した「TOM’S EV+」(トムスEVプラス)のシステムを採用したトヨタ「アルファード」が展示されたのです。

 トムスは東京オートサロン2024にてもちろん自社ブースも出展していましたが、オートバックスのメイン展示であった「ガライアEV」の開発にトムスが協力したことや、両社の環境対応に対する姿勢が一致したことでオートバックスブースでの展示となりました。

 なお、オートバックスが今回の東京オートサロンにてカスタムEVをメイン展示とした背景には同社が2024年で初出店から50周年を迎えることに関わっています。

 次世代のEV社会への対応、EV時代になっても「自分の個性をクルマに盛り込んでいきたいという気持ちにこたえたいという思いを形にした」とのことです。

それで「ALPHARD EV PLUS」とはどんなクルマ?

「TOM’S EV+」はハイブリッド車のバッテリーを追加で搭載することで、EVモード走行時の走行距離や燃費を向上させるものです。

 トムスの技術革新本部が主体となって開発を進めているプロジェクトで、半年ほど前から構想し、2024年1月に正式に開発がスタートしました。

 つまり、2024年1月12日に開幕したオートサロン2024においては正式開発からわずか数日の状態で出展したことになります。

 昨今注目されているガソリン車のBEVコンバージョンはエンジンとその周辺の取り外しが必要で、手軽にはできないという点がネックです。

 しかし、トムスが新たに提案したのはハイブリッド車に最初から搭載されているハイブリッドシステムを「拡張」する方法です。

 ハイブリッドミニバンとしての使い勝手はそのままで、より手軽に、より環境に貢献できることを目指したのがこのTOM’S EV+です。

2025年の市販化を目指すという(撮影:加藤博人)

2025年の市販化を目指すという(撮影:加藤博人)

 今回展示されたアルファードを例にとると、純正状態は車体中央の底面に5kWhのバッテリーを搭載しています。

 そこへ後輪の真後ろのスペースに同等かそれ以上のバッテリーを並列で接続し、追加で搭載する方法を採用しています。

 バッテリー容量をアップさせることで、EVモードでの航続距離はもちろん、機能の飛躍的な拡張も実現するとのこと。

 東京オートサロン2024で展示された展示車両はあくまでモックアップとしていますが、今後1年間で開発を進め、2025年中の発売を目指しています。

 1車種目としてアルファードが選ばれた理由としてトムスは「構内の移動や送迎車としての需要の高さが理由だった」としていますが、アルファードに続く対象車種を増やす意向も示しています。

 また、バッテリーを追加で搭載するとなれば安全性の実証のみならず、車両重量の増加などにともなう「構造等変更申請」が必要となってきます。

 このあたりは国土交通省と協議し、しっかりと車検に通る仕様でTOM’S EV+を市場に送り出すとしています。

荷室下に追加されたバッテリー(撮影:加藤博人)

荷室下に追加されたバッテリー(撮影:加藤博人)

 ハイブリッド車へのバッテリー追加搭載を手がけてEVモードを拡大する事例は、トムスが調べる限りではTOM’S EV+が初とのこと。

 トムスとしては「施工費や書類の手続きなどすべて込みで50万円から100万円で提供したい」と話しています。

 これから本格的に開発を進め、ハイブリッドシステムとの兼ね合いや、搭載スペース、重量配分を見据えて追加バッテリーの搭載量や対応車種を検討していく、としています。

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