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韓国SKハイニックス、次世代リソ技術「EUV」の難題解決策を提示

プロセス改善へ3項目を提示

本記事の3つのポイント

  • 韓国半導体大手のSKハイニックスがEUVリソグラフィーを導入した最新鋭工場が竣工
  • DRAMへのEUV適用に向けたマスク、レジスト、ペリクルにおける課題解決が重要と説明
  • ペリクルでは現地企業が開発を進めているほか、レジストはついては次世代のメタルレジスト開発企業に出資している

 世界半導体業界でインテルやサムスンに次ぐ第3位にランクするSKハイニックス(韓国京畿道利川市)。次世代先端プロセスの極端紫外線(EUV)に対する難題を解決するため、多様なソリューションを提示している。同社は、2021年2月、超微細プロセスの10nm級第4世代(1a)DRAMが製造できるEUV技術を生産現場に導入し、後続処理として難題解決に向けた取り組みを進めている。

2月1日、EUV工程を導入した新工場完成式の様子(提供:SKハイニックス)

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3項目のソリューションを提示

 SKハイニックスは、利川本社工場でEUVを採用した新工場(M16)が完成したと、2月1日に明らかにした。M16は、3.5兆ウォン(約3333億円)を投じて建設された最先端半導体工場として期待を集めている。EUVは超微細半導体を製造するための最もコアな技術で、波長13.5nmの極端紫外線でウエハー上に超微細回路を実現する。

 だが、すべての物質に吸収されるEUV光源ならではの特性と、1台で2000億ウォン(約190億円)を上回る高価な露光装置など、市場参入の障壁は非常に高い。にもかかわらず、サムスンとSKの韓国勢はEUVに果敢な投資を続ける。

 輸出主導型の韓国経済において、半導体産業は全体輸出規模の2割を占める国家の大黒柱産業だ。1998年のIMF危機や2009年のリーマン・ショックなど、韓国経済が揺れるたびに復活を牽引したのが、失敗を恐れないチャレンジ精神と果敢な投資を断行する半導体だったのである。

 SKハイニックス技術リーダーの兪泰濬(ユ・テジュン)氏は、2月3日からソウルで開催された「SEMICON Korea 2021」のオンラインセミナーにおいて、同社が21年下期(7~12月)から量産を開始するEUVを採用したDRAMを紹介し、「生産性の問題が解決できる位相シフトマスク(PSM=Phase Shift Mask)、EUV向けブランクマスクの蓋の役割を担うペリクル、狭い回路をムラなく均一に作れる新しいフォトレジスト(PR)」(兪氏)などの3項目を同社のソリューションとして提示した。

 EUVプロセスは、最近量産に適用され始めたばかりの技術であることから、解決するべき課題が多い。EUV工程の量産過程に直面する問題点は、大きく「生産性と欠陥」にあるといわれている。

欠陥の解決策はペリクルにある

 1番目の課題は、照射量である。EUVの光はすべての物質に吸収されにくい性質を持っている。したがって、光をウエハー上に長い時間露出しなければ想定する回路パターンが作れないため、照射量の問題は歩留まりに致命的な問題を起こす。

 同社が提示した解決策は、タンタル(Ta)を利用した「attPSM」である。ウエハーに触れる前に、回路パターンが描かれたマスクの構造と構成物質に変形を与えて、より少ない光で明確な回路を形成するというアイデアである。これには、高い技術難度に伴って、ブランクマスクメーカーとの緊密な協力が不可欠だという。

 2番目は、「欠陥」の問題である。EUV光源で形成した回路パターンは、従来のものより非常に微細化されている。工程中に従来と同様の汚染物質が発見された場合、相対的にさらに大きな問題が生じうる。

 この問題を解決するための材料が「ペリクル」である。EUV向けマスク上に蓋をして、汚染物質を防ぐというコンセプトである。現状ではペリクル無しで露光工程を進めているものの、EUVの実用化に伴う生産拡大にはペリクルが必要不可欠だと、半導体業界では評価している。

 EUV向けペリクルは現在、韓国のエスエヌエステック(大邱広域市達西区)とエフエスティー(京畿道華城市)などが急ピッチで開発している。ただ、ペリクルの必要性はあるものの、生産技術の水準は量産ラインに投入できる段階に到達していない。

 兪氏は「EUVの量産に必要な光の透過率は88%以上だが、現在開発されたペリクルの透過率は82%程度で様々な問題が発生している。さらなる技術改善が必要だ」と説明する。

DRAMのさらなる微細化進める

 最後の課題は、「EUV向けPR」である。EUV光源は、フッ化アルゴン(ArF)光源に比べて14.3倍高いエネルギーを持つ。その分、単位面積あたりの光を構成する最も小さい単位の粒子である光子の数も少なく、凸凹の回路になる確率が高い。

 また、PRの構成成分が多ければ多いほど、ウエハーにPRを塗布した後、各種の成分が複雑に混じり色々な欠陥を引き起こす。

 これを解決するための方策は、無機物(メタルオキサイド)ベースのPRである。従来のPRより単純な構成になっているうえ、光子を吸収する性質を持つことから、多数の露光工程でも均一かつ精巧な回路を作れるのが長所である。同社は、この材料の可能性を見極めて、20年2月に米国の無機物PRメーカーのインフラに投資したのである。

 「EUV工程の長所を最大化するため、各種のフィルターシステム、洗浄システムをさらに改善しなければならない。我々は、10nm以下のEUV工程でDRAMの微細化を持続的に進めていく計画だ」(兪氏)と意気込む。

 SKハイニックスは2013年、当時のハイニックスからSKグループに買収されて傘下に入った。それまではいわば「半導体のチキンゲーム」の真っただ中にあり、倒産寸前まで追い込まれたことがある。

 だが、大勢のリストラや工程改善、徹底したコスト低減に取り組むなど、まさに死に物狂いの覚悟で挑んだ結果、メモリー半導体メーカーとして生き残ることができた。以降、16年から半導体需要の再開とメモリー半導体プレーヤーの縮小により、同社の業績は上向き始めた。そして18年通年の営業利益率はなんと51%を超える空前絶後の業績を達成し、20年通年も17%程度の高収益率を計上している。

 こうした高い利益率を後ろ盾として、SKハイニックスは技術開発を強力に推し進め、いまやメモリー半導体におけるEUV工程時代を先行して切り開いていこうとしている。

電子デバイス産業新聞 ソウル支局長 嚴在漢

まとめにかえて

 EUVリソグラフィーは現状、先端ロジック向けを中心に量産工程に導入が進んでいますが、今後はいよいよDRAM分野への適用も進みそうです。ロジックに比べて適用レイヤー数がそれほど多くありませんが、DRAMのウエハー処理枚数を考慮すれば、装置・材料分野へのインパクトは予想以上に大きそうです。サムスン電子を含めて韓国勢のEUV適用に今後も注目が集まりそうです。

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