国民年金保険料を払わないと財産の差し押さえも!? まだ間に合う対処法とは

会社員や公務員とは異なり、アルバイトや自営業、個人事業主などは国民年金保険料を自ら納付しなくてはなりません。ただ、うっかりしていたり、経済的に厳しかったりという理由で未納な人もいるのではないでしょうか。

未納が続くと老後が無年金になるだけでなく、預金や財産を差し押さられるというリスクも生じます。払わないとどうなるのか、払えない時にはどうしたらよいのか、その状況や対策について解説します。

保険料の納付は税金と同じく法律で義務付けられている

国民年金は現役時代に一定の年金保険料を納めることで、老後に老齢基礎年金を受け取ることができる公的制度です。日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に、国民年金への加入と保険料の支払いが法律で義務付けられています。

そのため、個人事業主などの「第一号被保険者」は自分で保険料を納めなくてはなりません。たとえ「老後のことなど考えるのはまだ早い」「年金をもらえなくてもしかたない」と考えていても、税金と同様に誰でも保険料を納める義務があるのです。

保険料は毎年改定され、わずかですが少しずつ上がっていて、2020年度の月額保険料は1万6,540円になっています。月々の支払額としても軽いとはいえませんが、滞ってしまうと支払いがより厳しくなることは明白です。

また、世帯主が会社を退職して個人事業主になった場合などは、それまで扶養に入っていた家族の保険料も個人で支払わなくてはならず、未納が続くと大きな負担になってしまいます。

老後の無年金だけでなく厳しい督促や差し押さえへの覚悟が必要

では現実問題として、保険料を支払っていないとどうなるのでしょうか。

まずは本来なら原則65歳からもらえる老齢基礎年金が給付されず、「無年金」となってしまいます。暮らしに充分な金額とはいえないものの、老後に一定金額が入るのと入らないとでは安心感が大きく違います。

また、国民年金の加入期間に病気やケガで働けなくなった場合にもらえる「障害基礎年金」も、受け取ることができません。未納の状態でいた場合、万が一の場合の公的保障は適用されないことになります。

重要なのは、老後や病気・障害の際に困るというだけではありません。保険料の納付義務を怠ったことにより、未納者には日本年金機構から厳しい措置が取られるのです。

ハガキや封書で支払いの督促状が届くだけでなく、年金事務所から委託されている民間企業から督促の電話があったり、訪問員が自宅を訪ねたりということになります。

それでも納付しない場合は差し押さえ通知が届き、車や自宅、私物などを差し押さえられ、預金口座も凍結される大事に発展してしまいます。未納額を回収するまでは本人だけでなく、世帯主や配偶者といった連帯納付義務者の財産も対象になるのです。

さらに、納付期限の翌日から完納日の前日までの日数に応じて最大で年14.6%の延滞金がかかるため、支払金額が膨らむことになります。

強制追徴の強化による差し押さえ件数は年に1万4,000件超

国民年金は現役世代が高齢世代の年金を担う施策ですが、少子高齢化により現役世代の割合は年々減少しています。保険料の未納率が上がれば年金の仕組みが破綻する恐れがあり、以前から保険料未納者は制度の重要課題となっていました。

未納者を減らすには納付期間の短縮が有効と考えられ、それまで25年間だった納付期間が2017年からは10年間に短縮されました。納付期間が短ければ年金も少なくはなるとはいえ、10年間で受給資格が得られるようになったため納付率は上がっています。

未納率を減らすためのもう1つの手段が、未納者への徴収を厳しくすることでした。日本年金機構は2014年から強制徴収の強化を図り、未納者の財産調査や差し押さえに集中して取り組んだのです。

直近の2018年発表によれば、同年度に1万4,344件の財産差し押さえを行うに至りました。対象は控除後所得額300万円以上かつ未納月数7カ月以上の滞納者と、以前に比べて条件が厳しくなっていることも特徴です。

徴収が強化されたたこともあって、納付率は上がりました。厚生労働省が今年6月に発表した2019年度の最終納付率は 76.3%となり、前年度と比較すると1.7 ポイント伸びています。

納付率は概ね年齢が上がるにつれて高くなりますが、前年度と比べ20代~30代の上昇幅が大きくなっている背景には、徴収の厳格化があるのかもしれません。

納付が困難ならば急いで分割払いや救済措置の手続きを

このように保険料の納付は拒否できないわけですが、では滞った支払いはどうしたらよいのでしょうか。

まず、納付期限から2年以内であれば遡って支払うことができるため、納付書が手元になければ近くの年金事務所に問い合わせましょう。2年を過ぎる時効となり支払えなくなるので注意が必要です。

経済的に一括支払いが難しい人は、まず「分割払い」の措置をとることが賢明です。年金事務所で分割払いの納付書をもらい、少しずつでもきちんと払っていきましょう。所得が少なく分割払いも無理な場合は、年金事務所に相談すれば「免除」や「猶予」といった救済措置を受けられる可能性があります。

手続きさえしておけば未納にならず、免除や猶予が承認された期間は年金の受給資格期間に算入されます。ただし将来もらえる年金額については、保険料を全額納付した場合と比べて低くとなります。

ただ、もしも度重なる督促状や電話、訪問などを無視し続けた結果、差し押さえの予告通知書が届く段階になると、こういった救済も基本的に受けることができなくなります。納付期限までに一括で支払えない時は差し押さえられてしまうので、なんとしてもその前に手を打つことが不可欠です。

まとめ

保険料を滞納してしまった場合、一番してはならない行為は督促を放置したり無視したりすることです。後回しにしてしまうと金額が膨らむだけでなく延滞金も発生し、ますます支払いが困難になります。差し押さえまでいってしまえば分割や救済措置のタイミングも逃すことになり、取り返しがつきません。

充分な金額とはいえないかもしれませんが、年金は老後の生活を終身で保障してくれる貴重な収入です。将来、確実に受給できるように、しっかり備えておきましょう。

【参考資料】
令和2年6月厚生労働省年金局 令和元年度の国民年金の加入・保険料納付状況」(令和2年6月、厚生労働省)
国民年金保険料の収納対策及び厚生年金保険の適用・徴収対策の現状と課題」(平成26年6月、厚生労働省)
年金用語集」(日本年金機構)
国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(日本年金機構)
国民年金保険料強制徴収集中取組期間の結果について」(日本年金機構)

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