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JRの神対応!?乗っていた列車が豪雨のため打ち切りになったら?

知っておいて損はない!遅延時や運休時の払い戻しのルール

払い戻しで東京~新大阪間のグリーン車に無料で乗れた!?

ここ数年、局地的な集中豪雨が増えました。そのため、たびたび列車が運休しています。2017年7月の九州北部豪雨ではJR九州の久大本線・光岡(てるおか)駅~日田(ひた)駅の間の橋梁が河川の氾濫で流出し、代行バスでの運行を余儀なくされています。日田彦山線でも一部不通区間があり、完全復旧までには、まだまだ時間がかかる予定です。

このように近年の豪雨は、鉄道網をも破壊するほどの猛威を振るう勢いなので、乗っている列車が運行打ち切りになったり、乗る予定だった列車が運休になることも珍しくなくなりました。

豪雨予報や台風予報が出ている時には、旅行は控えるべきですが、仕事やどうしても外せない予定がある場合もあるでしょう。私も今まで何度か、乗っている列車が運行打ち切りになったり、乗る予定の列車が運休したりした経験があります。

「そんな時、あなただったらどうするでしょうか?」

ほとんどの方は、購入した切符の運休区間分の「運賃の払い戻し」をして終わりだと思います。ところが、JRの切符の仕組みを知っていると、もっと得することができるのです。たとえば、私は以前、東海道新幹線で東京から新大阪まで、グリーン車に無料で乗車したことがあります。これも、JRの切符の仕組みを熟知していたからできたことです。

切符の払い戻しは、乗客から依頼がないと処理できません。ですから、払い戻しに関するルールを知っているかどうかは、得をするか損をするかの分かれ目となります。私も切符のルールを知らければ、東京から大阪までグリーン車を無料で利用することなどできなかったのです。知っているか知らないかで2万円以上もの差が出てくるのが払い戻しのルールです。

ここでは、知っておくと得する払い戻しのルールについてお伝えします。

運休時や運行打ち切りで知っておくべき払い戻しのルールとは?

実は、JRの切符にはJRの「運送約款」というJRグループ共通のルールがあります。毎月、発売されている交通新聞社の「JR時刻表」には、そのルールが掲載されているので、一度はチェックしておくと良いでしょう。「すでに切符を持っていて、列車が運転できなくなった場合」のルールを簡単に説明すると次の通りになります。

【全区間で旅行をとりやめる場合】
運賃・料金(特急料金、グリーン料金、寝台料金など)が全額払い戻しになります。

【旅行の途中でとりやめる場合】
乗車しない区間の運賃と運転を取りやめた特急・急行の料金が全額払い戻しになります。

【乗車中の特急列車が目的地の途中駅で運転を取りやめた場合】
後続の特急・急行列車に乗車できます(一部の新幹線区間を除く)。運転を取りやめた列車の特急・急行料金は全額払い戻しとなり、寝台料金も使用開始後、朝6時までの間に一部区間または全区間を利用できなかった場合に限り、全額払い戻しになります。

※JR東日本「きっぷあれこれ・事故などの場合の取り扱い」https://www.jreast.co.jp/kippu/24.html

ここまでは、常識的に考えられる対応になりますが、もう一つほとんどの方が知らないルールがあるのです。それが「無賃送還」というルールです。

※JR東日本ホームページに掲載されている無賃送還のルール https://www.jreast.co.jp/ryokaku/02_hen/07_syo/03_setsu/12.html

無賃送還を簡単に説明すると、持っている切符の目的地まで列車の運行が打ち切りになった場合、「希望があれば、出発駅まで無料で戻ることができますよ。」というルールです。ただし、直近に出発する列車に乗って戻ること、無賃送還中に途中下車しないことなどの条件があります。

実は、冒頭に説明した「東海道新幹線・東京から新大阪までグリーン車に無料で乗車した」というのも、この「無賃送還」のルールを適応して体験したものです。

2009年10月8日に体験した内容で、すでに廃止になった特急列車に乗車する予定だったこともあり、現在全く同じ状況が再現されることはありません。しかし、無賃送還のイメージがおわかりいただけると思いますので当時の状況をご紹介します。

実際に体験した無賃送還の事例とは

2009年10月8日の午前中、私は大阪からの乗車券で新大阪から東海道新幹線に乗り、グリーン車で東京に行きました。東京に到着したら仕事をし、その後、23:03に上野から寝台特急「北陸」(2010年に廃止になり今は運行していません)に乗車する予定でした。

実はこの時、私は大阪~東京を単純に往復したのではなく、

大阪→東京→高崎→宮内→直江津→金沢→大津京(滋賀県・湖西線)

という片道乗車券を持っていました。

ところが東京での仕事が終わり、19時ごろに寝台特急北陸の運休の連絡が入ったのです。ここで私が考えたのが、大津京駅までの予定だった旅行を途中の東京駅までで取り止めにして、出発駅までの無賃送還を適用してもらうことでした。

これを適用すると、東京→高崎→宮内→直江津→金沢→大津京の区間の運賃が払い戻しになり、かつ、すぐに出発する列車を利用して途中下車しなければ、無料で出発駅の大阪駅まで戻れるわけです。

さらに、無賃送還のルールには、途中で旅行を取りやめた区間までと同等の座席クラスで出発駅まで戻れるルールがあります。つまり、新大阪駅から東京駅までグリーン車に乗車した私は、無賃送還分の帰りもグリーン車で東京駅から新大阪駅まで戻れたのです。

ただし、このルールを適用してもらうため、グリーン車に乗ってきたという証拠がいるのです。

私はどのようにして、グリーン車に乗車したことを証明したのでしょうか?

グリーン車、グランクラスの乗車証明は切符が必要

実は、途中まで乗車した座席クラスを証明するには、使用した切符を提示するしかありません。つまり、使用済みのグリーン券をもらうしかないのです(ネット予約の乗車票でも大丈夫です)。このような経緯から、旅行途中で後続列車が運休の可能性がある場合、かつ、グリーン券やグランクラスを使う場合は、改札窓口で「無効印を押してください」と駅員さんにお願いして、無効印を押してもらい切符をもらうようにしています。

このときもグリーン車の切符を持っていたおかげで、帰りの新幹線もグリーン車で無賃送還してもらえたというわけです。

「列車が運行できなくなった場合」のルールを使ったJR西日本の神対応事例も

もうひとつ、無賃送還の事例ではありませんが「列車が運行できなくなった場合」のルールが適用された最近の事例をご紹介しましょう。

私の知人である小林素明さん(46)は、東京出張のため、2017年7月27日(木)0:34大阪駅出発の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」東京行きに乗車しました。小林さんは仕事の疲れで寝台に入って、すぐに眠りにつきました。

ところが、車掌のアナウンスで眼が覚めると事件は起こっていました。なんと、目覚めた車窓からは、乗車したはずの大阪駅。小林さんは、一体何が起こっているのか、理解できませんでした。

実は、乗車する数時間前に琵琶湖線で架線事故が発生し、27日朝7時過ぎまで復旧に時間がかかった影響で、サンライズ瀬戸・出雲は大阪駅で立ち往生していたのです。

ただ、その時のJR西日本の対応は神がかったものでした。

早朝5時ごろに車内アナウンスで、停車中の大阪駅から新大阪駅まで電車を運行し、新大阪駅から朝6時の始発のぞみ号で東京までの振替輸送を行う案内が車掌からあります。この処置のおかげで、小林さんは、東京駅までの区間を、運賃のみで東海道新幹線に乗車できるようになりました。さらに「乗車中の特急列車が目的地の途中駅で運転を取りやめた場合」のルールで、購入したサンライズ瀬戸・出雲の特急料金の全額払い戻しと、朝6時までに列車を下車したことから寝台料金も全額払い戻しを受けられたのです。

これが、朝6時以降にサンライズを下車していたら寝台料金の払い戻しはありませんでした。乗客の利便性を優先し、寝台料金が全額払い戻しになる、朝一の新幹線を案内したのは、JR西日本の神対応と言えるでしょう。

そのおかげで、東海道新幹線を使ったにもかかわらず、小林さんは実質運賃のみで東京まで行けたことになります。

東京駅に到着したのは、サンライズ到着予定時刻よりも2時間以内の遅れだったということですので、特急料金の払い戻しにもならない遅れですみました。

小林さんは今回「ちょっと寝台列車を体験しよう」と思って乗車したのですが、6時間弱とは言え、寝台(しかもA寝台個室)を使うことができ、さらに運賃のみで東京に行けたのは、鉄道ジャーナリストの私からすれば運が良かったと思います。まさに、JR西日本の神対応と言えます。

小林さんが利用した切符

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。通常の切符を購入して、途中で列車が運行できなくなった場合は、出発駅まで無賃送還してもらえるというルールがある、ということを覚えておくと良いでしょう。

このほかにも、列車の遅れや運休時の規則を知っておくと、いざという時に便利ですよ。