景気変調に市場身構え 東証3日で1千円超円下落

 先行きの景気後退懸念が深まり、株式や債券市場の変調が始まっている。6日の東京株式市場は日経平均株価が大幅続落。3日間の下落幅は1千円を超えた。米中の貿易摩擦の激化や、米債券市場で長期金利が短期金利を下回る「長短金利逆転」が迫ったことも景気後退のシグナルとして意識され、投資家のリスク回避姿勢が鮮明となっている。
 平均株価の終値は前日比417円71銭安の2万1501円62銭。約1カ月ぶりの安値で下げ幅は一時600円を超えた。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)幹部が米国の要請に基づきカナダ当局に拘束されたと伝わり、通商政策で対立を続ける米中両国の新たな火種として投資家心理を冷え込ませた。
 通信関連株に加え、コマツや日立建機などの中国関連株が下落。国債市場も長期金利の指標である新発10年債の終値利回りが前日より0・015%低い0・050%と約4カ月半ぶりの低水準となった。アジア市場でも中国や台湾、シンガポールなどの株価指数が軒並み下落した。
 市場変調の引き金は貿易摩擦に対する懸念だけではない。「米景気の先行きに対する不安も今回の下げ相場に拍車をかけている」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストが指摘するのは、米長期金利をめぐる不穏な動きだ。
 4日の米債券市場では、10年債の利回りが2・9%前後まで低下し、2年債の2・8%前後まで急速に接近した。市場では長短金利が逆転すると「景気後退が近い」とされ、この金利差縮小に市場が身構えている。
 お金を貸す期間が長いほど貸し倒れのリスクが大きくなるため、金利は期間が長いほど高くなるのが普通だ。だが、景気拡大の終盤では、成長鈍化の懸念から安全資産の国債が買われ長期金利が上がりにくくなる一方、中央銀行は政策金利を引き上げるため短期金利は上昇しやすく、時に長短金利の逆転が起こる。投資家や銀行は短期金利で資金を調達し、長期金利を目安に資産運用して利ざやを稼ぐため、長短金利が逆転すると資金借り入れ需要が縮小し、景気上昇に歯止めがかかりやすい。
 過去にも米長短金利の逆転後に景気後退が起こる歴史が繰り返された。前回、月平均での逆転が起きたのは2006年2月だが、後にリーマン・ショックが発生。1998年6月の逆転後にもITバブルが崩壊した。
 ただ年末商戦における好調な個人消費など、米景気の底堅さを裏付ける材料もある。鮎貝氏は「長短金利の逆転から現実の景気後退までは、およそ20カ月のタイムラグがある」と指摘した上で、「長短金利の逆転が直ちに景気後退につながるわけではない」と過剰反応に警鐘を鳴らしている。
(佐久間修志)

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