地銀の黒字額5年ぶり1兆円割れ 不動産融資が大半、「担保主義」変わらず

 全国地方銀行協会や金融庁などのまとめによると、地銀106行の平成30年3月期決算は単体ベースの最終損益の合計が前期比0・4%減の9965億円の黒字で、5年ぶりに1兆円を割り込んだ。一方で3月末の貸出金残高は前期末より増え260兆円を超えた。住宅ローンを含む不動産向けの低利融資が大半を占め厳しい経営環境下で「担保主義」が変わっていない構図が浮き彫りとなった。
 金融庁は3年前から、地銀に対し担保に依存した融資を柱とする従来型の経営体制からの脱却を求めている。低金利や人口減少が進む中、「持続可能な新たなビジネスモデルを構築できないと立ち行かなくなる」(幹部)ためだ。金融庁は重点施策をまとめた「金融行政方針」で、経営不振の地銀などに立ち入り検査を実施し「対話」を通じて経営の改善を促すと明記している。
 最近では、30年3月期に最終損益が赤字に転落した福島銀行(福島市)に収益力の改善を求める業務改善命令を出した。島根銀行(松江市)にも近く検査結果を通知した上で、業務改善命令などの対応を決定するもようだ。
 一方、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)傘下の親和銀行(長崎県佐世保市)と十八銀行(長崎市)との経営統合は、公正取引委員会が独占禁止法の観点から容認せず難航。打開策として債権譲渡で貸し出しシェアを下げる調整を進めており、FFG社長も務める地銀協の柴戸隆成会長は会見で「月内にも融資の借り換え意向調査の結果をまとめる」と明かした。
 経営効率化を目指す地銀の再編は金融庁も後押ししているが、競争の阻害を懸念する公取委との溝は深く、地銀改革の大きなハードルとなっている。

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