FX証拠金倍率引き下げへ 金融庁、経営体力に応じ判断 年内にも実施

 金融庁は12日、投機性が高い外国為替証拠金取引(FX)で元手の何倍まで取引が可能かを示す「証拠金倍率」の規制について、経営体力に応じて上限を下げる方向で変更することを決めた。現在は一律で最大25倍に規制されているが、事業者ごとに上限を変える。年内にも実施する。同日、店頭FX業者の決済リスクの対応に関する有識者検討会で検討結果をとりまとめた。
 政府は今後、金融商品取引業などに関する内閣府令を改正する。相場の急激な変動でFX業者の財務が悪化しても事業が続けられる体力を持っているかを「ストレステスト」で厳しく評価し、健全性の低い事業者には自己資本の積み増しや倍率の引き下げを求める。
 店頭FX取引市場の年間取引規模は世界最大の5千兆円規模にまで拡大している。金融庁は業者が破綻すれば、外国為替市場や金融システムにも影響を及ぼしかねないことを考慮した。
 当初は倍率の上限を一律10倍に引き下げる案が検討されたが、「変動幅の異なるさまざまな通貨に対し、一律の引き下げは論理的な裏付けが難しい」などとして業界側が反発。代わりに事業者の健全性を厳しく評価することにした。ストレステストは平成28年と29年に実施されたが、健全性が低い場合でも改善策などは求めてこなかった。
 金融庁はこのほか日々の取引データを報告するよう義務づける。注文時に提示された為替レートと実際の約定価格がずれるといった「不公正取引」の有無を自主規制機関とともに確認する。
 FX取引は平成10年の外国為替取引の完全自由化で拡大。商品先物会社や証券会社に加え、FX専業会社が参入した。ただ、「高い利息をもらえる」という詐欺的な勧誘などで投資家被害が拡大したことから、17年に業者に対する登録が義務づけられた。その後、金融商品取引法に基づいた規制に移行し、顧客保護、業者のリスク管理などを目的とした規制も加わった。
 証拠金倍率については22年に上限を設け50倍とし、翌年、25倍に引き下げた経緯がある。

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