仮想通貨、確定申告の壁 16日からスタート 売却益は「雑所得」に 20万円超で必須

確定申告をPRする劇団四季の鈴木涼太さんと苫田亜沙子さん=14日、京都市下京区の京都劇場(桑村大撮影)

 平成29年分の確定申告が16日から始まる。国税庁は昨年、仮想通貨の売却などで得た利益は「雑所得」に当たるとし、納税方法などを示したガイドラインを公表した。だが、複数の仮想通貨や交換所を利用している場合の正確な利益の把握など、仮想通貨をめぐる申告で多くの納税者が困惑するケースも想定される。
 雑所得は給与所得や配当所得など10ある所得区分の一つ。他の所得区分の所得と合算し、その合計に課税される。所得の高い人がより高い税金を納める累進課税で、会社員の場合は給与所得などと合算して15〜55%(住民税含む)の7段階に区分された税率がかかる。その年の1〜12月に仮想通貨を換金した場合などに、通算で20万円超の利益があれば確定申告が必要。通貨を保有しているだけでは課税されない。
 課税されるケースは、仮想通貨の取得価格と売却価格との差で得た売却益、他の仮想通貨と交換し換金して得た利益、仮想通貨での商品購入だ。例えば、仮想通貨1万円分を購入し、2万円に値上がりした後に1万5千円分の買い物をした場合は、1万5千円から1万円を差し引いた部分の5千円分に課税される。
 また、株などと異なり、損失が出た場合、給与所得など他の所得との差し引き(損益通算)はできない。
 日本の申告納税制度では、確定申告の際に雑所得などの取引明細の書類を添付する必要はないが、税務署からの問い合わせに備え「取引明細は最低5年間は手元に保管するのが望ましい」(国税庁)という。
 ただ、「複数の交換所で複数の仮想通貨を取引しており把握しきれない。仮想通貨で買い物をした際の記録まで残すのが大変だ」(40代の会社員)と対応に苦慮する声も多い。
 今後は、約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した交換業者コインチェックが日本円で返金する場合の課税対応も課題となる。麻生太郎金融担当相は6日、返金額が顧客の取得価格を上回っていれば所得税の課税対象とする可能性を示唆した。
 だが、この返金が「損害賠償金」になれば所得税法で非課税とされる可能性もあり、「コインチェックの返金方法の詳細が分かるまでは対応できない」(国税庁)という。(西村利也)

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