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ヤマト、「正午〜午後2時」廃止 ドライバー「休憩とりやすく」 人材確保の取り組み加速

 宅配便最大手のヤマト運輸は19日の発送分から、宅配便の配達時間帯を指定できるサービスを縮小した。ドライバーの長時間労働の改善が目的で、消費者やインターネット通販会社など大口顧客にも理解を求める。宅配ロッカー専門の集配業務も試験的に導入し、人手不足解消に向けた取り組みを加速させる。
 今回の見直しでは、6区分で受け付けていた配達時間帯指定サービスのうち、「正午〜午後2時」の枠を廃止。ドライバーが昼の休憩時間を取りやすくした。また、「午後8〜9時」は「午後7〜9時」に広げ、特定の時間帯に配達が集中しないようにした。
 関東地区を担当する男性ドライバーは「昼の時間帯にゆとりができるので、今後は休憩をとりやすくなるだろう」と、労働環境の改善効果を期待する。広報担当者は「ドライバーを含む社員全員が、健康でいきいきと働ける環境づくりの第一歩だ」と強調する。
 時間帯指定サービスはヤマトが平成10年から業界に先駆けて実施。「サービスが先、利益は後」という経営理念を象徴するサービスだ。見直しを余儀なくされた背景にはネット通販の普及に伴う荷物量増加で、ドライバーの長時間労働が慢性化していたことがある。
 ヤマトの28年度の宅配便取扱個数は前年度比約8%増の約18億7千万個に達し過去最高を更新。10年間で6割増え、荷物の受取人不在による再配達も増えた。労働基準監督署からの是正勧告も受け、社内調査の結果、少なくとも4万7千人に計約190億円の残業代を払うことになった。
 持ち株会社ヤマトホールディングスの巨大物流拠点「羽田クロノゲート」(東京都大田区)では19日、施設の一画にある宅配便の受付窓口で女性スタッフが「正午〜午後2時」の指定欄がなくなった新しい伝票を配りながら、取引先一人一人に宅配サービスの見直しを説明した。
 取引先であるネット通販会社も、ニッセンが正午から午後2時に商品を届ける指定などを受け付けないようにするなど対応を急ぐ。
 ヤマトはネット通販での購入時、駅やコンビニエンスストアなどに広がる宅配ロッカーに届け先を指定できるサービスを9月までに試験的に導入、再配達を減らしてドライバーのさらなる負担軽減を図る。個人宅への配送よりも負担が少ないため、高齢者や外国人ら多様な人材の確保にもつなげたい考えだ。