「副業の収入が本業を超える人」が大切にしているたった一つのこと

「副業するなら自分のキャリアを活かした『個人事業主』を目指すべき」と断言するのは、『サラリーマンを「副業」にしよう』(プレジデント社)の著者である俣野成敏さん。ウィズコロナの時代に、個人事業主として自分にぴったりな副業をスタートさせるにはどのようなことが大切なのでしょうか。しっかりと稼ぐためのポイントとは――。

ビジネスの増加の階段の上昇の矢印

※写真はイメージです(写真=iStock.com/shutter_m)

「何を副業にしていいかわからない」という悩み

「自分のキャリアを活かして副業をしましょう」といわれても、実際はどんな副業をすればいいのかわからないという人が多いようです。そのような人のために私が考案したのが、「ジョブ・マトリックス」です。(図表1)

ジョブ・マトリックス(4S)


※俣野成敏『サラリーマンを「副業」にしよう』(プレジデント社)より作成

これは、もともとビジネスに不可欠な職域を「プロデューサー/マネジャー」「スペシャリスト」「サポーター」「マーケター/セールスマン」の4つに分類したもの。

この中で比較的始めやすくお勧めなのが「サポーター」です。サポーターとは、いわゆる裏方ですが、もともとアウトソーシングが発達している分野。裏方で副業をしている人は、クラウドソーシングなどを利用している人も多いようですが、そうするとライバルが多く、単価も低く抑えられるのが実情です。

そういった下請け的なイメージを脱して、しっかり個人事業主として稼いでいくには視点を変えることが重要です。

そこで鍵になるのが「顧客の再定義」。つまり、これまでの顧客とは違う人を相手に商売を考える。自分の専門性を全く別の人に売るということです。

顧客対象を園児から母親に変える保育士

私が主宰する副業オンラインアカデミーの会員の中に、保育士のOさんという方がいらっしゃいます。Oさんはバリバリの保育士としてキャリアを積んで、来春には転職で新設の保育園の園長になることが内定しています。園長先生になれば、保育士としてはおそらくトップレベルの待遇になるかもしれないけれど、副業を考えるなら、サポーターの領域で考えましょうと提案しました。

そこでカギになるのが、「顧客の再定義」です。保育士としての顧客は園児ですが、それをお母さんに変える。相談相手のいないお母さんはたくさんいますので、そういう人を相手に、たとえばオンラインサロンなどで問題解決プランを提案していく。1対1で話したい人には単価を上げて、個別対応していく。そういった考え方で個人事業を起こす提案をしました。

この世界で20年ぐらい働いてきたOさんの知見を、たった一つの保育園の中で終わらせるのはもったいない。子どもではなく、お母さんを相手に商売する。これが顧客の再定義ということです。

「困った人はどこにいるか」を考える

顧客の再定義を行う際に大切なのは「困った人はどこにいるか」、つまり需要がどこにあるかという視点です。

今のウィズコロナの時代は、どこに需要があるのでしょうか。有望なのは「コロナで変化を余儀なくされて、新しい価値観を持ち始めた人」です。

2020年6月3日の読売新聞には「Zoomの利用者が19年12月の1000万人から、4月には3億人、30倍に急増。売上高は2.7倍」という記事があります。

こういったニュースからも、Zoomの利用者が、1000万人から3億人になったのなら、2億9000万人の人が急激な変化対応を余儀なくされている、この困った人たちに対する需要が見えてきます。

Zoomというのは、新しいサービスで多くの人が素人ですから、すぐに「詳しい人間」になれます。まずは有料会員になって、いろいろいじってみる。有料会員になっても月2千円程度の自己投資です。会議に必要となる機能や便利な使い方を説明できるぐらいになるのは、それほど難しいことではないでしょう。

そうやってZoomのエキスパートになると、社内でも「Zoomのことなら、あいつに聞け」とプレゼンスを高めることもできますし、さらにスキルを磨けば「テレワーク推進コンサルタント」にもなれるかもしれません。世の中でトップになるのは難しくても、新しいことに的を絞れば、社内でトップになることは難しくありません。

こういったニュースからも、見込み客を見つけることができるのです。

ニュースは副業アイデアの宝庫

ウィズコロナの需要について、つづけてお話ししましょう。7月3日には「新型コロナで地方移住を決断する人が増えて、オンライン移住イベントが大人気」というネットニュースが流れました。

たしかにコロナ問題で満員電車の恐怖は高まっていますし、そもそもテレワークが推進されて、本社のある都心に通勤する必要もなくなっています。ならば、わざわざ高い家賃を払って都心に住む意味もない。もっと自然が豊かで家賃の安いところに住んだほうがいいのではないかと気づき始めている人が増えています。

私の友人の宮城さんは、そこに目をつけて「Flato(ふらっと)移住支援サービス」というものを始めました。これは移住に興味はあるけれど、いきなり移住というのはハードルが高い。ならば、就活のOB訪問やインターンのように、実際の移住者に話を聞いたり、仮居住してみたりしてはどうか。移住を就活のモデルにあてはめた新しいプラットフォームを創りました。ここでいうサービスは「移住には興味があるけれど、いきなり実行に移すのはハードルが高い人」にとっては有難いサービスです。

最強の事業を生み出す「X2+Yの法則」

こういった時代のニーズをとらえることは、新しい事業を始めるときに最も大切です。これまで私もさまざまなビジネスを立ち上げましたが、自分の好きなことややりたいことをスタート地点にしたことは一度もありません。

まずはニュースなどをチェックして、時代の動きに目を向けること。そこから自分だったら何ができるかを考える。もしも自分の力だけで難しければ、他人の力も借りて考える。

これを「X2+Yの法則」といいます。(元芸能人の島田紳助氏が売れる芸人になるための考え方として「X+Yの法則」を提唱しましたが、これを応用したものです)

X2というのは、自分の能力と他人の能力の掛け合わせ。Yは時流です。

つまり自分だけでは、箸にも棒にもかからないけれど、他人の能力が加わることでそれを補える。そこに時流をとらえた需要がプラスされると、自己ベストの事業が生まれるということです。

売りものは何? 名刺で表現しよう

せっかく事業を起こしても、仕事がとれないのではないかと心配する人がいます。そう、個人事業主として、しっかりと仕事をとるためには“尖らせる”ことが大切です。

私自身も個人事業の事務をお願いしている大木さんは、企業で事務職をしていた経験を活かし、小規模事業主の事務作業を受注しています。大木さんの肩書は「事務番長」。周りの人が名付けたニックネームだそうですが、これがとても尖っていて効いています。事務番長と聞いただけで、すごく事務が得意で、面倒な事務を一手に引き受けてくれるというイメージがすぐにわきます。

自分の売りを外部に示すためには、SNSで宣伝するのはもちろん、名刺をつくること。名刺というのは、自分の商売を表現するツールです。サラリーマンの名刺を副業に流用するのは、ご法度です。

せっかく事業を起こしても、なかなか仕事がとれないのは、それが何屋さんかよくわからないから。こちらとしては、ちゃんと売ってくれたら買ったのに、ということがよくあります。ですから名刺には、自分が何を提供するのか、自分の売りものをしっかりと表現しましょう。

副業のひとつの目標は本業の収入を超えることです。それができる人とできない人の違いは「最初の狙い」です。本業を超えている人は、最初から本業を超えると確信を持てるものにしか手を出していません。

とりあえず時間が空いたのでアルバイトしよう、ギグワークしようというのでは、本業を超えたとしても一時的なものになってしまうでしょう。「とりあえず」ではなく、「長く」「一生涯」と考えて、副業を始めた人だけが、生涯現役の選択肢を手に入れられるのです。

今回のテーマである「副業」をもっと詳しくお知りになりたい方は、『サラリーマンを「副業」にしよう』(プレジデント社)をぜひお読みください。

俣野 成敏(またの・なるとし)
ビジネス書著者/投資家/ビジネスオーナー
30歳の時にリストラに遭遇。同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の中で現役最年少の役員に抜擢、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資家としても活動。投資にはマネーリテラシーの向上が不可欠と感じ、その啓蒙活動にも尽力している。自著著書に『プロフェッショナルサラリーマン』が12万部シリーズ、共著に『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』などがある。

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