大雪のとき「這ってでも」出社するべきか

臨時休業したら社員は給料が減る

台風の被害が目立った2018年の秋。通勤に支障が出た人も多かった。ひと昔前までは「這ってでも会社に来い」と出社させる風潮が強かったが、近年は休業に踏み切る会社が増えている。冬になれば、こんどは大雪のリスクもある。会社は自然災害にどのように対応するのが正解だろうか。

9月、台風21号の接近に伴う計画運休で閑散とするJR大阪駅。(時事通信=写真)

もっともリスクが少ないのは、やはり休業にすることだ。労務に詳しい千葉博弁護士は次のように解説する。

「台風などの災害が予見できているのに、無理に出社させて事故に遭ったら、企業は安全配慮義務違反を問われるおそれがあります」

会社が休業を決めれば、堂々と休める社員もハッピーなのか。じつは必ずしもそうとは言えない。賃金には、ノーワーク・ノーペイ、つまり社員が働かなければそのぶんは支払わなくていいという原則があるからだ。災害が数日にわたるケースで原則を適用されれば、家計は大打撃だ。社員側には、「好きで休んでいるわけではない」という言い分があるかもしれない。しかし、会社側も好きで休業するわけではない点に注意だ。

労働基準法26条では、休業が「使用者の責に帰すべき事由」の場合、会社は休業中も平均賃金の6割以上を支払うことが義務づけられている。ただ、会社の責任になるのは、生産調整で工場のラインを止めた場合など。自然災害は会社の責任とはいえない。

会社が休業を決めたのに、やるべき仕事があって出社したら、賃金はどうなるのか。

「仕事をすれば賃金はもらえます。ただ、会社の判断で決めた休日は、労基法で定められた法定休日ではありません。法定休日なら35%以上の割増賃金がつきますが、法定外なので通常の賃金です」

場当たり的対応にならない方法とは

台風や大雪の日は社員も出社したくない。しかし、給料が減るのも困る。何かいい解決策はないのだろうか。

「現実的な対応は、社員に有休を使ってもらうことでしょう。有休は事前の申請が必要ですが、会社が事後的に認めてあげれば、社員は給料を減らすことなく会社を休めます。そのままノーワーク・ノーペイになるより、社員にもメリットがある」

別途で有給の災害休暇を設けるのもいい。本来は支払う必要がない休業時の賃金を会社が負担することになるが、人手不足のいま、福利厚生を充実させるのは悪い選択肢ではないはずだ。

いずれにしても重要なのは、事前にルールを決めておくこと。当日朝に場当たり的に対応を決めていたら、社員は振り回されるばかりだ。

「オフィスの場所や担当する業務によって、出社の可否や重要性は変わります。ルールを明確化しすぎると現実に対応できないおそれがあるので、ある程度、柔軟性を持たせるべき。たとえば『近隣の公共交通機関が止まったら出社に及ばず』といったルールで十分でしょう」

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