125ccも50ccと同等に! ついに誕生「新基準原付」不都合を抱えたままスタート 足並み揃わないルール作り

いわゆる「新基準原付」に関する法令がいよいよ公布されました。125ccの原付二種バイクの出力を抑えたモデルも、50ccの原付一種と同等の扱いに。ただ、ルール作りの足並みが揃わなかったことで、不都合が生じる可能性もあります。

新基準原付、3つのゲートのうち2つが開く!

 排気量50ccのエンジンを搭載したバイクが販売できなくなることを前に、国土交通省と警察庁が2024年11月13日、「新基準原付」に関する改正の同時発表を実施しました。バイクメーカーにとっては、規格に適合する車両の型式申請が可能となり、ライダーにとっては原付免許で、新基準原付の運転が可能になります。

Large 241113 gentsuki 01

原付のイメージ。125ccまでの出力を抑えたモデルも原付一種として扱われるようになった(画像:写真AC)。

 新基準原付は、排気量125cc以下のエンジン最高出力を4kW以下に抑えたモデルが該当します。排出ガス規制の強化により排気量50ccエンジンの製造が不可能になる対策として、こうした125ccエンジンを搭載した車両の一部を、「原動機付自転車」(=50ccエンジンバイク)と同等にみなす制度改正です。

 実施するためには、次の3つの改正が必要でした。

・国土交通省による車両に関するルール改正
・警察庁による原付バイク運転に関するルール改正
・総務省による軽自動車税の課税に関するルール改正

 今回、国交省と警察庁の公布によって、車両規格と運転ルールについて改正内容が確定しました。ただ、両省庁では施行日(実施日)に違いがあります。

 国交省物流・自動車局が公表した道路運送車両法省令改正は、公布と同時に施行されました。このためバイクメーカーは、11月13日から希望すれば型式申請が可能です。改正のポイントは次の点です。

(1):「総排気量が 0.050Lを超え 0.125L以下であり、かつ、最高出力が 4.0kW以下のもの」を第一種原動機付自転車に新たに追加する。
(2):(1)の新たな第一種原動機付自転車については、型式認定において、その原動機に総排気量に加え最高出力も表示させる。
(3):(2)の新たな第一種原動機付自転車のエンジンについては、型式認定において、その原動機に総排気量に加え最高出力も表示させる。

(2)と(3)は、最高出力を表示する対象が車体かエンジンか、という違いです。

警視庁はよくても、総務省はどう言うかな?

 警察庁は道路交通法施行規則の一部を改正しました。50cc原付のことを道路交通法では「一般原付」と呼びます。この規定について次のように改めました。

・排気量については〇・〇五〇リットル(二輪のもののうち、構造上出すことができる最高出力が四・〇キロワット以下の原動機を有するものにあっては、〇・一二五リットル)。

 これにより、原付の運転が可能な運転免許の所持者は、原付以上の運転免許を所持していれば、付帯免許でも新基準原付のバイクを運転することができます。

 ただし警察庁の場合、改正内容の発表は2024年11月13日ですが、この内容の施行日は2025年4月1日です。国交省の施行日が公布日と同日なのは、バイクメーカーの車両製造に配慮したものと思われます。また、警察庁の施行日は、車両の供給を前提にした交通ルールになっているためです。

 また、前出した3つ目の課題である課税ルールの改正は、総務省が軽自動車税で定められた排気量区分(種別割)の変更について、法律の改正が必要であると判断したため、国会議員が関係する税制改正の方針が示されることが必要になりました。

Large 241113 gentsuki 02

国土交通省の発表のイメージ(中島みなみ撮影)。

 経済産業省と共に、国交省と警察庁が求める税制改正要望は、そのほか幅広く国民生活に影響する多くの税制改正要望といっしょに検討されるため、運転が可能になる来年4月1日までに決定する見通しは立っていません。

 50cc原付と、そのほかの原付での課税額の差はわずかですが、排気量制限が改められないと、地方自治体が運営する駐輪場などに、新基準原付が駐車できない可能性があります。

ジャンルで探す