不審なドローンは「網で捕獲します」 撃ち落とすよりも利点が大きい理由とは
「テロ対策特殊装備展」に展示された東芝の対ドローン用ドローンは、網を放出するネットガンで機体を捕獲する形式をとっています。この方法は不審なドローン相手にはかなり効果的なのだそうです。
ターゲットを自律追尾するドローン
テロ対策のための最新の資機材や技術を紹介する展示会である「テロ対策特殊装備展」が2024年10月9日から11日まで都内で行われました。約100以上の企業・団体が国内外から参加した同イベントで東芝もドローンに対抗するカウンタードローンシステムを展示していました。
このカウンタードローンシステムは基地や空港、原子力発電所など、安全保障上重要な施設に侵入してきた不審なドローンを検知し、それによる危険を回避するために設計されたものとのことです。
東芝のカウンタードローンシステムはレーダで目標を検知し、対処用のドローンを向かわせるものとなっており、目標を捕捉すると、今度は機体搭載のレーダで自律追尾します。特徴的なのがドローンの対処方法で、ドローンの機体に搭載したネットガンから捕獲用ネットを射出します。
施設に侵入したドローンに関しては、現状ではドローンを操作する通信そのものを妨害するジャミングや高出力レーザーなどで撃墜する方法もとられています。しかし、これらの方法に弊害がないわけではなく、ジャミングの場合は周辺の通信を妨害することがあり、レーザーの場合も撃ち落とすことで落下先の施設や人家に影響が出ることも考えられます。
ネットガンにより安全に捕獲し情報収集も可能
その問題を解決するのがネットガンとのことです。ターゲットをロックしたあと捕獲用ドローンは、対象ドローンの射程距離まで接近し、自動でネットを射出します。捕獲後は網に絡めた状態のまま運搬し、安全な場所で切り離します。
この方法の場合、仮に侵入したドローンが爆発物などの危険なものを搭載していても被害を避けることができます。また、捕獲したドローンは撃墜するよりも、状態の良いものを入手することができるということで、担当者は「押収後、機体のデータなどを解析して証拠品とできることも大きなメリットの一つです」と同ドローンの利点について説明しました。
なお、地上に設置したレーダでの追尾を継続しながら、機体搭載されたレーダで捕捉を行うため、対象ドローンの捕獲率はかなり高いとのことです。
同ドローンに関しては、既に海外での運用実績があり、代表例としては2022年に行われた、サッカーのカタールワールドカップでも警備に使用されたそうです。国内販売としては、主に空港や発電所のような重要施設における需要が見込めそうであるとのことでした。
10/20 12:32
乗りものニュース