F-35戦闘機「全部同じじゃないですか!?」「よく見ろ!全然違う」タミヤ担当者が激白、最もキット化し難かったタイプは?

「全日本模型ホビーショー」のタミヤブースで、48分の1スケールの F-35C「ライトニングII」が公開されました。これによりタミヤ製キットでF-35A、F-35B、F-35Cの全てを揃えることが可能に。ただ、商品化にあたって意外な苦労もあったそうです。

50%を新規パーツで構成

 東京ビッグサイトで、2024年10月12日と13日の両日にわたって開催された「全日本模型ホビーショー」において、タミヤが新たにリリース予定のプラモデル「1/48 ロッキード マーチン F-35C ライトニングII」が公開されました。

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実機のF-35C(画像:アメリカ海軍)。

 タミヤは、この商品でF-35戦闘機の全タイプをキット化したことになります。同機は、アメリカ、イギリス、カナダなど計9か国の戦闘機および戦闘攻撃機、対地攻撃機、空母艦載機などを全て1機種で置き換かえようとして開発された機体で、陸上機(空軍)仕様のA型、垂直離着陸仕様のB型、空母艦載(海軍)モデルであるC型の3種類が存在するものの、各タイプはかなり機体構造が異なるため、同じF-35といっても似て非なるものとなっています。

 そのため、このたび公開されたタミヤ製キットも実機の差異が強く反映されていました。F-35Cは空母に搭載可能なよう、主翼が折り畳み式になっているのが特徴で、翼幅もA型、B型より大きくなっています。

 ゆえに、ボディパーツなどはほぼ新規のパーツで起こす必要があります。ブース担当者にハナシを聞くと「A型と比べると400パーツ中200パーツが新規のものになっていますので、50%が新規パーツになります」という答え。しかも、実は主翼だけではなく尾翼の部分も変わっているそうで、「主翼が大きくなった関係で、水平尾翼も垂直尾翼も寸法が変わっていますので、新たに製作しています」と明かしてくれました。

一番こだわったのが主翼部分

 ただ、垂直離着陸タイプであるF-35Bに比較すると、ウエポンベイやエンジンなど内部のパーツには大きな変更点がなかったとのこと。B型のときは約70%が新規パーツだったそうです。ただ、一般的にプラモデルで同系統ながら別仕様の機体や車両が販売される場合、通常は30%程度が新規パーツなのが一般的なので、ほぼ別製品であることは変わりありません。

 新規パーツ率はB型よりも低かったものの、実機の調査に関してC型はかなり困難だったそうです。F-35シリーズは機密の部分が多いため、展示機であっても一定の距離を置いてしか見ることができないことは共通していますが、加えてC型に関しては、まだ配備数が少ないうえにアメリカ空母にしかない機体であるため、日本国内はもちろんアメリカ本国でもほとんど見る機会がありません。担当者は「航空祭などでも飛びませんので、ロッキードマーチンの資料や写真を見て作りました」と苦労を明かしてくれました。

 一番こだわり、そして大変だった点は主翼のギミックで、接着剤で固定する必要がなく、翼を折った状態と、主翼を広げた状態をパーツの差し替えで再現する機構を作るところだったとか。

「脱落しないように固定しつつ、脱着できるようにしないといけない、これは大変でした。しかし、折りたたんでいる姿は艦載機らしい、翼長の大きい姿も捨てがたい『どちらか選べない』という方は多いと思いましたので、ここは重要でした」

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「1/48 ロッキード マーチン F-35C ライトニングII」(斎藤雅道撮影)。

 タミヤ48分の1 傑作機シリーズでF-35Aが発売されたのは2022年12月のこと。最初の派生型であるF-35Bが2023年12月なので、今回のF-35Cが予定どおり2024年12月に発売されれば、1年間隔でF-35は新規キットが発売されることになります。

 プラモデルとしては、かなりハイペースでの商品展開といえるでしょうが、A型を開発している段階から「ABC全部やろう」という話はあったそうなので、タミヤとしては最初から既定路線だった模様です。

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