県都の玄関駅がついに“脱・国鉄” 高架化の松山駅どう変わった? でも待望の西口はガラン

愛媛の顔・JR松山駅がついに高架の新駅舎に切り替わりました。新駅はどのような様子なのでしょうか。壮麗な駅舎が誕生した一方で、まだまだ荒涼としている部分も多くあります。

ホームの珍風景も健在!? 高架化したばかりの松山駅

 JR松山駅が2024年9月29日、高架の新駅舎へ切り替わりました。新しい駅は見どころも満載。しかし、その周辺はやけにガランとした風景が広がっています。

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新たに新設された西口はまだまた発展途中。今後は商業施設やホールの建設が計画されている(坪内政美撮影)。

 10月の時点ではまだ、松山駅の見た目は旧駅とあまり変わりません。旧駅のホームや線路に渡された仮設通路を使って新しい高架駅へアプローチする形です。役目を終えた旧駅と新駅が隣り合う光景もまた、“今だけの見どころ”となっています。

 こうした不思議なアプローチでたどり着く新・松山駅は、1階コンコースに入ると頭上に広がる中央に湾曲した県産ひのき・杉の角材組手が出迎えます。これは、今年7月に5年半ぶりの全館営業再開となった道後温泉本館の唐破風大屋根をイメージしたものです。

 1階コンコースに隣接して、「だんだん通り」と名付けられた商業施設も同時にオープン。17の愛媛県初出店や人気店舗、コンビニなどが軒を連れており、旧駅で人気だった駅うどんやカレー店の一部の商品は、カフェレストラン店のメニューとして引き継がれています。また新たに弁当店も入居しましたが、「醤油めし」などの駅弁の取り扱いは現在のところ行っていないそうです。

 中央改札には、四国では高知、高松に続き3駅目となる自動改札機が導入(ただし交通系ICは利用不可)されたほか、駅スタンプも新調され、専用スタンプ台も設置。そんな改札から2階へ通じるフロアの頭上は、日本三大かすりである織物「伊予かすり」の柄を林業県でもある愛媛県産材で表現したもので、全体的に木のぬくもりを感じさせる空間を演出しています。

 また2階には新たに待合室が設けられ、その腰掛の一部には観光列車「伊予灘ものがたり」の先代車両キロ47形気動車で使われていた座席が再利用されています。

ホームの珍風景も健在!? 高架化したばかりの松山駅

 一方、今回の新駅完成ともに新たに開設されたのが「西口」ですが、こちらはまだ完成していません。

 ここは車両基地である松山運転所の跡地です。車両基地で東西が分断されていた分、駅利用の期待度が高まったのは確かですが、現状で駅前は空き地が目立ちます。あるはずのロータリーは“仮”の状態で、西口を発着する路線バスやタクシーの常駐もなく、一般の駐車場もコインパーキングが1か所のみという状況です。

 松山駅の高架化は、国が新規着工準備を採択したのが2004年で、本格的な着工は2010年のことでした。駅西側に隣接していた車両基地・松山運転所の移転を2020年に完了させ、2024年にようやく高架駅の開業となりました。

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新駅初日の11時23分8000系リニューアル車「しおかぜ・いしづち6号」で出発式が行われた(坪内政美撮影)。

 実は当初の計画では、愛媛国体に合わせて2017年度の開業が目指されていましたが、松山運転所の移転先で発見された遺跡の発掘調査や、2023年に高架橋梁で設計ミスが発覚するなどのアクシデントにも見舞われ、地元は待ちに待ったという印象です。

 県と市が進める周辺整備はかなり遅れており、西口駅前広場の完成は2年後、2026年度の予定。東口では、新駅と実質離れてしまった伊予鉄軌道線の「JR松山駅前」電停とバスターミナルの整備が進められますが、今年度中に旧駅舎が撤去された後となるため、完成は2027年以降の予定です。もと県民の筆者には、駅の行方にまだまだ目が離せません。

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