石破氏「地元の新型特急」どうなる? 進む老朽化 苦境に立つ「3セクの優等生」

鉄道好きで知られる石破 茂氏が自民党の新総裁に。ただ、地盤である鳥取県内の地元へ向かう特急列車は、岐路に立っています。

老朽化問題で揺れる「スーパーはくと/いなば」

 鉄道好きで知られる石破 茂氏が、2024年9月27日に自民党の新総裁に選ばれました。選挙戦中も、好きな寝台特急などについてSNSで喜々として語っていました。

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京阪神と鳥取方面を結ぶ特急「スーパーはくと」(画像:写真AC)。

 石破氏は地元鳥取への移動に寝台特急「出雲」をよく使っていたことでも知られます。ただ、石破氏の地盤である鳥取1区は鳥取市などが中心で、出雲の後継の「サンライズ出雲」などは通りません。

 鳥取1区の地域に通じる特急が、京阪神や岡山と鳥取・倉吉を結ぶ智頭急行の「スーパーはくと」「スーパーいなば」です。

 智頭急行は2024年に開業30周年を迎え、様々な記念イベントが行われていますが、実は厳しい局面を迎えています。鳥取市への主要アクセス手段である「スーパーはくと」の収入で第3セクター鉄道の“優等生”といわれたものの、コロナ禍で乗客は激減、3期連続の赤字に陥っています。

 このため2024年3月に特急料金を300円引き上げ、ダイヤを改正。3月から京都発着を6往復から2往復まで減らしたうえで、大阪-鳥取の列車を1往復増発しました。

 同時に、東海道・山陽新幹線「のぞみ」との姫路駅での接続を改善し、東京-鳥取では最大27分の時短を実現しています。

 特急料金の値上げは、新型車両の導入に備えたものでもあります。智頭急行は2019年に中期経営計画で特急車両の更新を打ち出したものの、コロナ禍もあり、仕切り直しになっています。しかし、特急に使われるHOT7000系は登場から30年を経て、天井から水漏れが発生するなど老朽化が進行しており、更新計画も待ったなしでしょう。

 今回の総裁選でも、スーパーはくと・いなばが停車する郡家(こおげ)駅がある八頭町の和多理神社で祈願した石破氏。「地元行きの新型特急」を実現できるでしょうか。

※一部修正しました(9/28 10時10分)

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