紅海で攻撃を受け炎上したタンカー“とてつもない量の原油”が漏れ出す危機にEU派遣艦隊が出動

ひとまず原油漏れは回避。

8月下旬から燃え続けていたタンカー

 紅海に派遣されているアスピデス作戦艦隊(EU艦隊)は2024年9月16日、数週間にわたって炎上していたギリシャ船籍の石油タンカー「スニオン」を安全な海域まで曳航することに成功したと発表しました。

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船体の一部が燃えている石油タンカー「スニオン」(画像:ユーナフアスピデス)。

 同タンカーは8月21日にスエズ運河を抜けて紅海に入った際、イエメンの反政府勢力であるフーシ派によるものと思われるミサイルや水上自爆ドローンの攻撃を受けてエンジンを損傷、航行不能となりました。

 乗っていた船員に関しては、救援要請を受けたEU艦隊のフランス海軍フリゲート(EU艦隊では駆逐艦扱い)「フォルバン」が急行し、周辺の水上自爆ドローンを撃沈して救出。しかし、石油換算で約100万バレルに相当する原油15万トンは「スニオン」に積まれたままで漂流していました。

 その後、フーシ派戦闘員が機内で爆発物を爆発させ、複数の火災を引き起こしたことが確認され、一時は原油漏れも懸念されましたが、EU艦隊は8月23日からデッキ上の少なくとも5か所でフーシ派の放火と思われる火災が発生しているものの、原油漏れは確認されていないと報告しました。

 その後、フーシ派は漂流している「スニオン」を曳航することに同意したと発表され、同船を安全な海域まで曳航を、EU艦隊が担当しました。

 紅海やアデン湾では、フーシ派の商船に対する攻撃が活発化しています。フーシ派は当初、イスラエル・パレスチナ自治区のガザでイスラエル軍と戦うイスラム組織「ハマス」との連帯を表明し、イスラエルに停泊するなど直接的な関係のある商船を攻撃すると宣言していました。しかし、イスラエルと関係が希薄な商船も標的になっていることから、EUのほか、アメリカ、イギリス、カナダ、インドなどの国々が海軍を派遣し、商船の護衛に当たっています。

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